朝練の前に景吾に頼んで、つい先ほど(と言ってもそんなにさっき、と言う訳じゃないけど)、放課後練が始まる前に貰った分厚い資料、と言うか。分厚いファイルを私は読んでいた。今は、もうドリンクを作り終えて、あとは、ロッカールームの掃除をするだけで。学校指定のジャージを着ている訳だけど、ドリンクを運ぶだけで、少し暑く感じ、上のジャージを脱ぎにマネージャーの更衣室に来たのだ。そして、少し気になってしまって。ファイルを開いた、という感じだ。ファイルには、レギュラー、準レギュラー、平部員と順番に並んでいる様で。写真と名前。学年、クラス、委員会。ある程度の性格などが書かれている。全てワープロで書かれているけど、多く残った余白に景吾の字でプレイスタイルや癖などが書かれていて、捻挫や手首の怪我などのあった季節などを書いてあるのもある。レギュラーや準レギュラーは細やかに書かれているけど、流石に平部員となると景吾も見るのが厳しいのだろう。レギュラー達より書かれていることは少ない。でも、決して何も書かれていない人は1人も居なくて。
ああ、景吾はやっぱり人の上に立つ人なんだな、と思って私はファイルを仕舞ってテニス部の部室棟へと向かう。



「…えーと、うーん…これは…」


どうしようか。少し、いやかなり驚いた。うん、まあ、中学生って思春期だし。いやいや、でも部室にあるのはどうなの?いいの?部室って神聖な場所じゃないの?でも、誰かがお金出して買った訳だから私が勝手に捨てる訳にはいかないし…。
平部員のロッカールームを掃除してたら、なんか、…エロ本、が出てきました。はい。あの、あと、あ、アダルトビデオ?が、出てきて…。思春期だから、まあ、仕方ない…とは思うんだけど…。…でも、景吾の支配下で何してるの、この人たち!景吾…が、こういうの持ってるかどうかは知らないけど、あくまでもここは部室でしょう!はあ、とため息をついてから私はそれを机の上に置いた。各ロッカールームには、ミーティングが出来る様になのか、8人ぐらい座れる机と同じ数の椅子が用意されていて、大きなホワイトボードもある。その机の上に置いたのは一種の嫌がらせ。…掃除中にエロ本見つけたお母さんが勉強机の上に置いて、それを見た息子は顔を真っ青にする、ってのを聞いたことがある。真っ青になればいい。


「えーっと、ここで、最後。もう少ししたらボトル回収しに行かなきゃ」


レギュラーのロッカールームに来て、中に入ってから時間を確認する。
レギュラーのロッカールームはやはり他と違っていて、ロッカーが10個しかないのに対して、だだっ広い。勿論、他のロッカールームにあったホワイトボードも、白く大きな机もあるけど、反対側の一角には、景吾が持ち込んだだろう。ソファが一セットとそれに合わせた小さなテーブルもある。さて、ここは結構綺麗だし、エロ本なんてぱっと見た感じ落ちてなさそうだし。楽そうだ。まあ、元々几帳面な性格な景吾がだらしない訳がなくて。景吾は小さい頃から身体が弱かったせいもあって、汚い部屋とかには慣れてない。綺麗好きでもある。


「救急箱っ!」


さて、掃除をしよう、と思った時。そんな声が聞こえて、赤紫の髪色が視界に入ってきた。私が驚いて振り向けば、赤紫色の髪のレギュラージャージを来た子が居た。私を見て驚いた様に目を開いた。


「なんでお前がここに居るんだよ!」
「え…なんでって、掃除、ですけど」
「っち、そうかよ…」
「あの…何かあったんですか?」
「鳳が怪我しただけだよ。俺は救急箱取りに来たんだ」


そう言った彼に私は案内してください、と言った。はあ?と顔を歪めた彼に、救急箱はありますと言って鳳さんはどこに、と言えば、納得のいかない顔して、


「はやく!」
「…クソクソ!こっちだ!」


彼はそう言って走り出した。私は救急箱を持って、それを追いかけた。


120827
向日くんです
15season
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -