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sixth code

くすり、とどこからか笑みが零れた。俺はそれがどこから聞こえているのか分かっているから、多少不機嫌になるのを堪えて、そちらを向いた。彼は部屋の扉に背を預け、こちらを見ていた。


「なに、してるの?」
「…別に」


俺はそう言ってパソコンの画面を指差しながら画面に向き直った。こつこつと靴音が聞こえ、俺の右肩に小さな重力がかかる。その原因は後ろの奴しか居ないから、大して重くも無いが、


「肩はやめろ。…テニスに関わる」
「…左利きじゃん」


奴は不機嫌そうな声色を出してそう言い、まあいいやと笑ってみせた。俺なんか淹れるけど何欲しい?と言った奴に俺はコーヒーと答えてから、奴を呼び止めた。なあに、と言った奴に俺は椅子を反転させて、笑いながら聞いた。なにかいいことあったのか、と。すると奴は言った。


「今日、新学期。クラス替え」


それだけ言って奴は部屋から出て行った。
…新学期に、クラス替え、か。ん?好きな女子とでも、同じクラスになったのか?

とりあえず、そんなことを考えながら俺は右手で携帯を操作し、ある人物へと電話をかける。左手はキーボードの上だ。


「…もしもし?」
【どうしたんだ?  】
「実はな、」


そして、俺はキーボードのエンターキーを押した。

『プログラム、完了しました』

パソコンの画面にはそう表示された。



「例の、出来上がった」


電話口の彼はまじかよ、と嬉しそうに言った。俺が早めにもう一度集まろうと言えば、今週の土曜の午後は部活がないから、そのときに行くと答えた。ちょうど俺も、今俺のコーヒーとおそらく自分の分のココアを入れているあいつも、その日の午後はあいている。


「じゃあ、土曜の午後。俺の部屋で」


さあ。
新たなゲームの開始だ。

俺達、TT。
正式名称、チーム・タブー。

ある唯一の目的のために動く者たち、なり。



120209
TT初登場のお話です。メンバーは口調で分かるかな…?とりあえず、語り手もTTなんですけど、この人は最後に分かって欲しいので、口調を分かりにくくしたくてあまり話させていません。TTのメンバー推測みたいの設置しようかと思ってます。←