TH | ナノ

11th key

師匠が来た日は、あのあとエリさんも来て、5人で夕飯を食べて、それから作戦会議をした。作戦会議と言っても、『ピエロ』やTTのこと、そしてあのソフトのことを話すぐらいだ。勿論、夕飯は蓮と師匠に作らせる訳にはいかないから、私とマサ、エリさんで作った。エリさん本当なんでも出来る。なんであんなに料理上手いんだろう。いつでもお嫁に行けますねって言ったら、相手居ないけどねって笑って答えてたけど。


まあ、そんなこんなで、


「なまえ!勉強会しよ!教えて!」
「愛ちゃん、いつも授業中ぼーっとしてるからー」
「はい!」
「…なんでしょう、光莉さん」
「私にも教えてー?」


にやにやと笑って言う光莉にはやだと言ってみせる。まあ、教えることになると思うけれど。そう。THとして忙しくする私と言えど、立海高校の2年生だ。定期テストは免れない。今日テスト2週間前と言うことで、範囲が発表された。そこでいつも通り、愛と光莉が白旗を揚げるのである。


「あ、幸村君ごめんね、今どくね」
「あ、いいよ、有明さん。ところでなんの話をしてるの?盛り上がってるね」
「あ、丸井君もだー。はいー、これー」


そうすれば、神の子と丸井が寄ってくる。神の子の席に座っていた愛が立とうとすれば、やんわりと許してから話に入ってくる神の子。同じ様に気になっているであろう丸井もなんだよぃと言いながら、渚ちゃんから今日の分のお菓子を受け取っている。渚ちゃん、料理研究部の部長さんってことが丸井にバレてお菓子をねだられたのだ。丸井にお菓子をあげるなら、真田君にあげればいいのにと前言ったら真っ赤にしてた。可愛かった。


「あ、幸村部長じゃん。幸村部長も一緒にやる?勉強会」


光莉さんーーー?!
変なことを言い出した光莉に、テニス部二人は勉強会?と首を傾げた。


「なまえに、勉強教えてもらうの。この子頭いいのよー」
「や、やめてよ、光莉。頭良くないし」
「何、事実じゃない」


違う違う。そんなんじゃない。首を振る私は、光莉の肩に両手を置いてため息をついた。


「なまえちゃんはねー、10番以内に入ってるんだよーいつもー。数学と英語とー、あ、外国語系と理科系はなんでも得意なんだよー」


いらない!そんな説明いらない!渚ちゃんがにこにこ話すと、丸井と神の子はすごいなと頷く。
すごくない!英語も、数学も、THに、必要だから、必要だったから勉強したの。他の外国語も、THと、それと景吾君に教えてもらっただけで。理科系もTHのために!
そう。私の勉強の全ては、THのためにしたもの。だから極端に偏ってる。
必要なものを、必要だったから勉強しただけで、それは本当に偏っていて。
…でも、幼馴染みがあの蓮とマサだ。蓮が、そんな偏ってるままの私を、許すか?…許さないのだ。急に知識をつけたから、本業の勉強も偏ってるままじゃ頂けない。そう言って、テストで下手な点数を取ってくると怒られる。…うちは、両親も兄さんも放任主義で、その前に両親はテストのことを理解しているかも危うい。兄さんだって家に居ないし。…だから、蓮が代わりに怒るのだ。私とマサを。そりゃあもう、はっきり言って、両親に怒られたいぐらい怒られる。テストに至っては、THの中で断トツの蓮だ。マサと私は、怒られない様な点数を取ってくるしかないのだ。
だから必然的に、10番以内の点数を持ってくることになる。


「そう言えば、蓮二、柳生、真田、仁王、みょうじさん、そして幸村君と、10位以上が殆ど知り合いじゃね?」
「…そうだね。ああ、みょうじさんの名前なら見たことあったかも」


薄く笑みを浮かべた神の子にどこか違和感を感じる。こんな笑み浮かべる奴だっけ?…いや、知らないけど

121213
ハッカーやってるなら英語には強いですよね