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second key



「そうだ!ねえ、なまえ、今日放課後テニス部見てかない?」
「は?」


どうしましょう。親友はテニス部ファンにでもなってしまったのでしょうか。親友―有明愛は、私同様兄が居て、しかも二人。そのうち、一人はイケメン美容師、もう一人は現役モデルの大学生ときている。そのせいか、テニス部のイケメンには興味が一切ない。はずだ。はずだった。なのに、なんで今更になってテニス部の見学なんかしようって…。


「丸井にさ、一度来てみろって言われてから見てみたかったんだよねー。行こう?」
「あー…。うん。いいよ」


そうか、そういうことか。丸井に誘われたから…って、えええ。ちょっと待ってよ。愛、もしかしてっ。そう思って愛を見れば、愛は不思議そうに嬉しそうに笑った。…十中八九そうじゃない?そうだよね?好きなのか!?丸井を!!?


「あ、あのさ、愛?」
「なに?」
「…愛は、丸井のこと、す、好きなの?」
「へ?あーだめだめ。丸井、身長ないし。私より少なくとも15cmは高くないと」
「ああ、そう。それならいいんだ」


そう?と笑って返した愛。…その条件だと丸井には無理だな。愛は162cm。私より高い。そんな私が愛のことをハムスターとか言ってるのは背とかじゃなくてってことね。丸井は、中3の時見かけた時よりは高くなったかなって感じだけど、たぶん、157cmの私とも15cm差じゃないし。というか、丸井はあの大型犬みたいな切原、より低いんじゃない?もしかしたら。その切原だって伸びたねーとか噂聞くけど、愛と15cm差はないし。マサは伸びたし、180超えだし、優に15cm差はあるけど。蓮は元々高いし。また高校入ってから伸びたし。あとのレギュラーは近くで見たことあんまりないから分からないや。


「え?今日、有明さんとみょうじさん見に来るの?」
「そうだよ。聞いてたの?」
「そりゃあ、隣の席だし聞こえるよ」


と笑った神の子。じゃあ聞かない様に耳塞いどけば?…それぐらい言いたくなるぐらいになってきた。少し素出すと一気に出したくなるんだよね。プラス、蓮とマサとかと違って、神の子ムカつくし。神の子嫌いだし。ああああ、本当こいつの負けました!みたいな顔見たい。誰でもいいからテニスで神の子倒してくれないかなあ。まあ、『テニス』でって言うのは、私が神の子に対してテニス以外に何も特に知らないからってのと、自分の得意分野っていうか、専門分野でぼこぼこにされたら、プライドもくそもないよねってことなんだけど。…王子様、だっけ。テニスの王子様。越前リョーマ。あの子、日本に帰ってきてるみたいだし、さっさと神の子倒してくれないかなあ。などと考えていれば、いつの間にか、話を聞いていた神の子と愛で身長の話になってる。


「高いと言えば、テニスってそんなに高くてメリットとかあるの?」
「それなりにね。そりゃあ、低いよりは高い方がいいさ。それ以上に必要なものもたくさんあるけどね」
「やっぱり背だけで決められちゃね。あ、そういえば!なまえのお兄さんも高いよね」
「お兄さん?」


いやいやいやいや愛さん!?何言っちゃってんの?神の子だってなんで興味あるみたいな顔こっちに向けてるの?え?これ素出したのが間違いだったの?え?


「お兄さんが居るって前の携帯の?」
「あー…うん。兄さん、1人ね」
「遼介さん本当格好いいよね!187cmあるとかまじ!うちの兄貴たちだって180そこそこなのに!187もあるなんて!素敵!」
「へえ。何かスポーツでもやってたの?」
「あー、中学の時はバスケを。高校は何もやってなかったよ」


そう言えば、バスケかあ、と呟いた神の子。そういや、神の子は大抵のスポーツは人並み以上にできたな、とか思っていれば、授業が始まる。やばい、と言って愛は自分の席に戻った。神の子は放課後来てねと微笑んできて、…うん、行くことになりました。


120824
成人男性で180超えってあんまり居ませんよね?