TH | ナノ

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携帯の着信音がメールが届いたことを知らせた。
俺は、食べていた卵のランチパック(王道だが最近好き)を置いてから、携帯を取って開いた。


「…きた!TH!」

THからのメールの返信だった。
俺は待ちに待ったメールを開く。そして、笑みがこぼれた。


「…さすが、TH」


俺が、わざと忍足謙也のサーバーを使ったことを、分かってる。それに、メールの本当の意味を理解している。
そして、俺は電話をかける。


「…あ、もしもし?今、大丈夫?」


俺は『ピエロ』。
ハッカーになりきれていない俺は、憧れはTH。協力者はスナイパーという、不安定な位置を取っている。




「で?今回はどうしたん?顔見たかったっちゅー訳やないやろ?」


謙也はそう言って、私達に尋ねる。謙也が浮かべるのはいつもの笑顔で、嘘なんてついていない様に見える。すると、私の隣に座っている蓮が言った。


「なんだ、用が無かったら会ってはいけないのか?」
「別にそうやないけど、なんか柳君がそういう言うと、こうなんかな…」
「それは俺も今思ったぜよ」
「私も」


そう苦笑いして言った謙也にマサも私も笑って同意する。そうすれば蓮は開眼して、こちらを見る。それは一体どういうことだ、と言ってみせる。…景吾君なら、このあとにあーん?ってつくんだろうなって考えていれば、マサの携帯が鳴った。悪い、と片手を持ち上げて断りを入れてからマサは携帯をとりだした。ディスプレイの画面を見てから、顔をしかめた。


「誰だ?」


蓮がそう聞けば、マサはちょっと顔を歪めて柳生なり、と言ってこの場で出ていいかというからそれに頷く。謙也にもマサは視線を送り、ええよと笑顔で答えた。はあ、とため息をつきながらマサは電話に出る。


「もしもし?…いま?だめに決まっとるじゃろ。…お前、約束、忘れたんか」


そう顔をしかめて言うマサは立ち上がり、外で話してくると手振りで教えてきたので、私達は頷く。3人で外に出て行くマサの後ろ姿を見ていた。…あれ?でも、電話の相手、柳生君だよね…?そう私が不思議に思っていれば、隣の蓮も妙だな、と呟いた。それに謙也が首をかしげる。


「…マサは普段、柳生に対して、あんな口調では話さないんだ」
「…喧嘩したんか?」
「…あいつらは同じクラスで、今回も同室だが、そんな素振りは…」


そう蓮が言ったことで、じゃあなんで、という話になるのだ。
私は、マサが柳生君と話している所は見たことが無いけど、電話に出ている所は何度か見たことがある。その時はあんな感じじゃなかったのに。まあ、気のせいだということもあるんだけど。


120624
なかなか進まない…