TH | ナノ

sixth load



「『ピエロ』、ねえ」
「…爪が甘い奴じゃのぅ」


結局『ピエロ』からのメールを読み終わったあと、私はこれは面白いと思い、何もせずにそのままそのメールは放置。マサと蓮が帰ってくるのを待つことにした。その間、夕飯の準備をしようと思い、台所に立った。ちなみに今日の夕飯は、鶏肉のバジル風味焼き的なものとスープとサラダ。私は比較的野菜が好きだからサラダは欠かせない。マサとかはどうやら偏食だって噂があるけど、外の味が食べれないだけで慣れ親しんだ家の味やそれに近い自分の料理や私の料理は食べてくれる。謙也は別格の美味しさだからカウントに入れないし、蓮の料理は食べれないからこれもカウントに入れない。ああ、景吾君は作るのは洋食専門なので、それは食べれるみたい。…まあ、師匠の料理食べて以前吐いてたけど。蓮も顔しかめてたしね。私もあれは無理だった。なんでマヨネーズだらけにしちゃうのか分からない。どこの漫画の登場人物か、と思わずツッコミたくなった。
まあ、そんなことも考えていれば夕飯はあっと言う間に出来上がってしまう、というか鶏肉は下準備だけだし。マサと蓮はテニス部のメンバーに幼馴染だってことを隠してるので、二人一緒に帰ってくることは滅多にない。今日も案の定マサが一人で帰ってきた。


「で?どんな奴じゃった?」
「あ、夕飯あとにしようかなって思ってまだなにも仕掛けてないよ。まあ、ウイルス系統は無かったよ、メール開く前に確認したし」
「そかそか。…のう、けっこう痕跡残ってるんな」
「そうだね。これなら、謙也でも追えるよ」
「…で?この中身、見てええ?」


そう聞いてきたマサに私頷いてから、飲み物はコーヒーでいいかとマグカップを見せた。するとマサは今日はミルク入りの気分とか言うから、私もシロップではなくミルクを入れることにした。かたかたとゆっくり動くキーボード音が聞こえたので不思議に思い、キッチンに向かう足を止めて振り向けば、マサは左手でキーボードを操作し、右手で鳴り始めた携帯を持っていた。そしてディスプレイを見て苦笑してみせた。柳生じゃき、と言ったマサにひらひらと右手をふってみせ、私はそのままキッチンへと向かった。





「…もしもし?」


つながった電話向こうの相手。くつくつと喉を鳴らして笑って。ムカつく。


「…手を抜いた?俺が?」


ふざけんなよ、と言いたくなって我慢した。あんまり相手を怒らせない方がいい。

俺は『ピエロ』。
尊敬するチームはTH。最近気になるのはTT。
そして、協力してるチームは、スナイパー。


120414
ちょっとややこしくしてみました