フラグが立ちました

「よしっ!今日は先生が機嫌が良いから席替えするぞ!」
「先生ー横暴ー」
「なんとでも言えー」


と、まあ、私のクラスは席替えをすることになったらしい。と言うもの、私の頭の中は今、Kさんが昨日うPした歌ってみたがガンガン流れていてそんなところではないのだ。ああ、本当美声さんよね。そして、実況も面白いし、踊れるし、演奏できるし、あの人大好き。すると、ぺしん、と頭を叩かれた。痛いなあと言って振り向けば後ろの席の雛が身を乗り出す様に私にくいくいと耳を貸しなと指を動かす。なんなんだ、そう思いつつも耳を寄せれば、


「柳生君と仁王君の席の近くを祈れ」
「なんでよ。あんな人気者と隣嫌だよ。おちおちネタもメモできなくなる」
「馬鹿か!次のボカミュはスポ根でしょ。ネタ集めなきゃ」
「その前に雛さんは作詞してくださーい」


そう言えば、うっと詰まる様に黙る雛。あれ、どうかしたのかな?いつもなら、任せろ!とか言って、調子いいと1日で軽く8曲の作詞をしてしまう超人的作詞家だと思っていたんだけど。ちなみに、ボカミュって言うのは、私達mpが勝手にやってる『musical project』で企画してる「ボカロ in musical」の略称である。と言うか、mpが勝手にそうやって呼んでる。ボカロのミュージカルだから、ボカミュね。
すると、雛は若干泣きそうになりながら、有印のリングノートを取り出して広げた。


「世界観の復習をしたいです、アイ先生」
「よかろう。―と、その前にくじ引く順番回ってきたから、引き行こ」
「おうよ」


世界観、か―。
今回のボカミュは、「王国」。召使というか侍女の立場を取るミクが、歌いながら洗濯とか仕事をしていたら、王子様のカイトがその歌に惚れる。カイトはその歌を癒しとして毎日聞いていた。また、歌とは別に細かな気遣いを見せるミク自身をカイトは気に入ってはいたが、いつもの歌を歌っているのがミクだとは気付かない。そして、ある日を境にその歌を聞けなくなる。そして、ミクも姿を消してしまって―。という、まあ、在り来たりなお話だ。ミクは滅びた隣国の王室の生き残りで、居なくなってしまったのはグミが使者として迎えに来たから(ミク自身も自分がそういう立場だとは知らなかった)。カイトにミクのことを教えてくれるのが仕えていたレンで、双子で城下町に住んでいるリンも協力してくれる。ただし、メイコがカイトの邪魔をしたりとか、がくぽが邪魔したりとか。色々あってカイトがミクを迎えに行って、二人は両思いになってハッピーエンドっていう話。ガチガチに王道の甘ーい話にしたけど、書いていて死にそうだった。
元々、私が一回元となる小説を全部書き、そこから脚本を作り、それをリヒトさんに送り。リヒトさんがそれに合わせて音楽を作り、それを聞いた雛が歌詞を作り、それに合わせてリヒトさんがまた音を載せていく。それが完成したら、最後に私が絵をかき、総まとめはリヒトさんがやってくれる。こう考えると雛は作詞しかしてない様に考えれるけど、ネタを持ってきてくれたり、脚本を一緒に考えてくれたり。というか、脚本はほぼ2人でやってる様なものだし。

とぼーっと考えながらくじを引けば、8の数字。黒板を見れば、窓際の一番後ろ。ラッキー!そう思って雛を見れば、同じ様に笑顔を浮かべ、紙を見せてくれた。数字は7。私の一個前の席だ。


「やった!これでまた話ができるね」
「バラす訳にはいかないから、小声でルークとティーレを語ってやんよ」
「やめれ」


そう話していれば、全員がくじを引き終わった様で、先生がじゃー移動ーと声をかける。机はそのままに、中身だけを入れ替える形式を取るうちのクラスはがたがた音が鳴らなくていい。教科書を横にかけていたサブバックに詰めて移動する。窓際一番後ろ。人気が高い席だ。すごい嬉しい。しかも雛は前の席だし。


「…えーと、みょうじ?じゃっけ?」


低く、聞いたことがある様な声が聞こえ、顔を上げて隣を見れば。


「俺、仁王雅治な。知ってる?」
「…それはそれは人気者ですから、仁王君は」
「人気者のお…」
「まあ、しばらくよろしくね、仁王君」
「こちらこそ」


人気者、の仁王君だ。これは是非ともお話を伺いたい。と雛を見れば、雛は若干挙動不審だ。なんでだろうと視線を動かせば…。ああ、雛の隣、柳生君だよ。
雛はなんかキラキラしてる人には耐性があるんだけど、それは従兄弟がそうだかららしいけど、でもそれは見る時だけであって、接したことは少ないって言ってた。しかも、優等生の柳生君でしょ?…キラキラの上に、授業中ネタメモもままらない方だ。

それにしても、私の隣が仁王君。雛の隣が柳生君。
これは、フラグが立ったと考えてよろしいんですかね?

121205
よろしいんですよ。フラグ立ちました。雛ちゃんと主人公の会話は私と友人の会話のノリのつもり。ボカミュとか勝手に色々やらかしました
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