私の日常

「はあ、素敵だわ」
「どうせ、またルークとティーレのでしょ」
「よく分かったね、なまえ」


そりゃあ、あれだけ毎日隣で聞かれて、毎日素敵だの格好いいだの。果てにはそれを聞かせられまでして覚えて居ない訳がないでしょ。そう隣でご機嫌そうにしてる親友−雛−を見て溜息をついた。今日は、雛と二人で買い物に来てる。まずはアニメイトに寄ろう、となった私達は生粋のオタク、と称される人種だ。まあ、私がオタクになったのは、この、一見可愛らしくちっちゃくて、なんとまあ守ってやりたくなる様な容姿をしている旭川雛に騙されたせいだ。この漫画面白いよー、このアニメ面白いよーと、小さな頃から洗脳されて。中学生になった時点で、夢小説を読ませられ。中2でBL小説も読んだ。元来、そういうものたちに嫌悪感は抱かない方なので、それはまあすんなりとこちらの世界へと雛に誘いこまれたのだ。
ちなみに、雛が誘い込んだのは、私だけでなく雛の従兄もという話だ。あと、雛を誘い込んだのは雛の4つ上のお姉さんだ。

要するに、雛は幼馴染であり、私の親友であもる。
小説サイトでは、私はアイという名前で、雛は桐子という名前で合同で小説を書いている。これがまたまた好評で、今度コピー本でも出してくれ、などと言ったコメントが多数来てるから、一儲け出来ると雛は息込んでいた。どうせそのコピー本の表紙は私が描くことになるんだろう。
そう。私は、書き手でもあるし、絵師でもある。ワラワラの方では、「レイン」という名前で絵師をやってる。正直、二つに名前を分けなきゃよかったって思ってる。


「あ、そう言えば、今日リヒトさんからメール来てたよ」
「え?なになに?新作完成したの?」
「そうっぽい。脚本確認したいってメールだったし」


そっかあ、と雛は頷き、じゃあ早めにメイトで買い物をして、ちょうどお昼頃になりそうだからそこらのお店に入って話そうってことになった。…そして、私達はメイトで買い物をした訳だけど、いつも気になるのが、桐子のお小遣いね。なんでそんなに本いっぱい買える訳?財布の中絶対おかしい。そう思いつつ、入ったお店でメニューと睨めっこをした。


「で?リヒトさんにメール返したの?」
「うん。リヒトさん、雛にもメールするって言ってた」


え、まじか。そう言って雛はスマホを取り出して、本当だ!と声を上げた。見せてくれたメール画面には、リヒトさんから「新作完成。作詞頼みます。パソコンに曲送りました」と書いてあった。ウェイトレスさんにそれぞれ頼んでから、今後の予定を決める。


「服買ったらさ、雛んちで曲聞かない?」
「いいよ。私も、なまえの脚本もう一回読みたいし」


じゃあ、決まりね。と二人で笑った。
リヒトさんって言うのは、ワラワラで一緒に企画をしているボカロPさん。男子学生さん。一緒にやってるのて言うのは、「musical project」って言うプロジェクト名で「ボカロ in musical」。つまり、ボカロでミュージカルをやっている。例えば、この前のだとミクが主人公で、ロミジュリのパロみたいのをギャグ路線でミュージカル調に一曲作った。脚本と絵は私。作詞が雛で、リヒトさんが作曲と動画担当。これが結構一部じゃ好きって言ってくれてる人が居て、凄く嬉しい。元はと言えば、私がワラワラに投稿した動画の主米で「ミュージカルをボカロでやったら楽しそうだと思う」って書いたら、リヒトさんが連絡くれて。それから、トントン拍子に話が進んだ。ちなみに、雛の好きな歌い手さん、ルークとティーレ。正確に言えば、ベトゥルークさんとジェンティーレさんも歌ってくれてたりする。そして、この二人は怖い。ぼっちで歌ってるくせに、すごいもん。あと、私の大好きなKさんも、mp(musical projectの略称ね)のファンらしくて、凄く照れる。


「あ、そう言えばさ、昨日の始業式でテニス部また表彰されてたね。あいつら凄いね」
「雛、唐突だね。まあ、そうだね。…うちのクラスの、仁王君と柳生君もテニス部レギュラーでしょ?」
「そ。中学ん時から凄いけど、まさか高校入ってすぐレギュラーとるとは思わなかったよね」


それだけ、去年の全国決勝で負けたのが悔しかったのかな?私はスポーツ経験ないけど、それでも、なんか分かる気がしないでもないしなあ…。


「あ!」
「な、なによ、突然」
「雛ー。次のミュージカルはさ、青春もので行こうか。スポコン的な」
「王者立海に触発されたな?でも、さんせーい!どうせなら、去年の題材にして書いちゃいなよ!その前に今回の王国ミュージカルだけどね」


121016
雛ちゃんの従兄弟はテニキャラです
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -