2回目の入学式


あの後無事に立海まで三人で歩いて行き、瑞希の赤也への愛は姉になっても変わってないことを実感した。瑞希は昔から赤也と謙也だけはすごかった。ああ…うん、謙也は格別だった。まあ、瑞希は過去というか未来というべきなのか、時間を巻き戻してこの世界になる前のことはたぶん知らないはずだから、ちゃんと姉として赤也が好きなんだろうけど。でも、赤也も赤也だ。あれはシスコンすきだろう。仲良すぎだった。いや、喧嘩っぽいのをするにはするんだけど、まあうん。ブラコンシスコン同士だ、あれは。

そしてあの日は立海の登校通路を確認したらそれで解散。制服が後日届き、同じ頃本屋に教科書を取りに行きながら備品を揃えた。それにしても、出掛けた時、おばあちゃんを見た時は泣きそうになってしまった。前の世界では私が中2の時に他界してしまい、この世界も同じ流れであれば私が小学5年生から入院生活を送っているはずなのだ。でも、そんなことなくて、元気いっぱいだった。そして、それに安心したと同時に孫馬鹿っぷりも健在だったのも痛感した。

そして、今日。
今日は立海大附属中等部の入学式である。新入生代表は柳蓮二がやるらしい。そう、あの柳だ。とは言うものも、あのおかっぱ頭はすごいな、可愛い。そう見惚れそうになりそうだったと思いつつも、同じクラスになった瑞希と共に教室に向かう。…立海って広いですね、はい。そして、制服が前の世界の本命高校(落ちた高校ですね)の制服に似てるから感激しそう。ブレザーを着たかったの!


「はい、みんなよろしくな!この1Bを受け持つ、迫水昭信だ。1年間楽しくやろう」

そう言って笑ったのは、私と瑞希が所属する1Bの担任を名乗ったイケメンさんだ。それから暫くは出席番号順の席順で行くことを伝えてから自己紹介に入った。出席番号は、女子が順に並んで、そのあとに男子が順に並ぶ様で、そうなると1番から17番までは女子なのか、と思いつつも緊張気味の女の子が立ち上がり名前を言って、出身の小学校と趣味と入りたい部活などを連ねていくのを聞いていた。…と言っても、自己紹介は初めてだし緊張するだろうとの先生の配慮で言うことは黒板に書いてある。最後のクラスのみんなへの一言ってあるけど、これは面倒くさい。。…あれ?……中学で出会った子が居るし、小学校で一緒だった子も、高校で見かけただけの子も居る。…なるほど。一応巻戻した世界な訳だから昔私に関わった人が居るのは当然だよね。時系列がバラバラなのは、この世界がテニプリを基盤とした世界と混ざってしまったから、と考えればいいのだろう。そう思っていれば、次は瑞希の番だ。


「切原瑞希です。出身は神奈川第二小。趣味は読書と、えっとテレビ鑑賞?です。部活は女子テニス部に入ろうかなって思ってます。えっと、ぜひ仲良くしてください」


笑顔でそう言った瑞希は座ってから私を見て苦笑いをしてみせた。私も同じ様に笑って返す。瑞希は前の世界と趣味がなんら変わっていなかった。重度は軽くなっていたが、漫画は少女漫画に留まらず少年漫画も読むし、アニメも見る。テニミュ(もちろんこの世界にはないのだけれど)出身の俳優、つまりはマイナー分野で活躍するイケメン若手俳優達を追っかけているのはそのままだった。つまりは私達の趣味は度合いが軽くなってちょっとミーハーな女子みたいな趣味に格上げされただけで、あまり中身は変わっていない。たぶん、マイナー俳優を追いかけてるのをどう言おうか迷って疑問符付きのテレビ鑑賞という説明になったのだろう。
ていうか、切原って名字改めて聞くと、すんごいテニプリぽいなあ。


「みょうじなまえです。出身は神奈川第二。趣味は読書、音楽・テレビ・映画鑑賞です。えっと、部活は吹奏楽部あたりを考えてます。1年間よろしくお願いします」


私は簡単に瑞希と似通った感じに自己紹介を終えた。先に述べた通り知り合いだった子も居るけど、対人関係は大丈夫だろう。女子特有のグループってのもたぶん。ただ、前の世界とその子の立ち位置が変わってる可能性もあるけど。私と瑞希がいい例だ。テニプリ・テニミュが無くなっているせいか、それともオタクになったのが中学入ってからだったからなのかは分からないが、私達は以前よりはオタクっぽくないのだ。…でも、瑞希が前乙女ゲームとか気になるとか言ってたから、もしかしたら軽くそうなるかもしれないけど。そう考えていれば、


「仁王雅治。出身は神奈川じゃないから言っても分からんだろうから、言わなくていいじゃろ。趣味はダーツとか?部活は男子テニス部あたりを。まあ、よろしくしてくんしゃい」


仁王っ!?
え、ちょ、待った。落ち着こう。そうだ、落ち着こう。
男子もよくよく見れば知った顔があるのだが、その中に見慣れてはいるけど、他の見慣れているとははるかに意味が違う見慣れた顔がある。
仁王雅治。…うっそお。まさかの、原作キャラが、同じクラス?いや、別に、私がどう仁王と関わろうとも話は進むだろうし、まず仁王あたりの性格だとクラスの女子とは仲良くしそうにないから、そう言うのは置いといても。…まさかの、原作キャラがこんなに近くに。…瑞希が赤也の姉なのにも驚いたけれど。仁王を見れば、まだ短髪ではあるが、銀色の髪はテニプリのままだ。すごいな、やっぱりこの世界ってテニプリ基盤の世界と混ざってるんだ。そう感心していれば、


「柳生比呂士です。出身は神奈川第四小学校です。趣味は読書で、部活はまだ検討中です。1年間皆さんといい思い出が作れたらいいなと思っております」


…紳士きたあああ。
…うわあ、まさかの紳士も同じクラスなのね。これはもしかしなくても、この世界でのあの二人がダブルス組むフラグ的な?…すごいな、この目であのテニスが見えるのだけで純粋に嬉しいのに、同じクラスにレギュラーになる人が二人も居るなんて。

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