まだ元の世界のお話



高2の冬日。
私の住む地域はどちらかと言わなくても田舎であり、私の通う私立の学校は坂の途中に建っていた。私は坂の上の台地に住んでいるか、ら、あの急な坂を自転車で毎日降りなくてはならなかったりする。坂までの道も、結構キツい。台風の暴風並の風が横殴りに吹いてくるのが、私の住む地域の特色であり、それを防ぐ為の松林が防風林と呼ばれ、通学路はほぼそれが続いている。

私は塾に行く日以外は大抵が自転車で、片道30分ある通学路を毎日走っているというのに、何故か痩せない。まあ、30分もあればキャラソンいっぱい聞けていいけど。



そう。私は、オタクに分類される人種だ。特にテニプリが大好きで、原作はコンプリートしてるし、新テニだって全部初版だ。アニメも最新のOVAはまだだけど大抵は見てある。本編は全部見た。ミュージカルも好き。今年は見に行ってきた程である。

そんな私は夢小説なんかも手を出してる。正直もう引き返せないのは随分前に分かっていて、引き返すつもりはもっとうない。


こんな私も、学校では普通の女の子を演じてます。なんて典型的な展開はない。私の学校の女の子達、免疫があるのかないのか。テニプリ好きで、重症度も伝えたのに、「それはオタクじゃないよ?テニプリ好きなだけだよ。あれ面白いよね」なんて言ってのける強者ばかりである。


まあ、今日は同志の子と話してきたんだけどね。一番話の合う、重症度も同じぐらいの付き合いの長い、親友みたいな奴は学校が違うから話なかなか出来ないしね。


と、長々と私が話したのには理由がある。

これはなんだ。
なんで私は雑木林なんかに倒れてるの。

いやいや、落ち着け。落ち着いて思いだそう。

学校から帰る道をいつも通り走っていた、よね?うん。そして?どうしたんだ?

そうだよ!寒いなあ、前見えないなあ、眼鏡つけようかなとか考えてたら、前に道が無かったんだよ!!

…………って、は?


前に道が無くて?そう。道が無くて、前輪はもう落ちてて、そのまま自転車ごと私は落ちた。

…だから身体中痛いのか。
ていうか、なんで道が無かったの?いや、私がぼうっとしていて、自転車が土手に向かってて、2mある土手から落ちただけなんだよ、分かってるよ。

ああ、やば。右足痛いし。動かない。まさかの初骨折?やば、笑えん。上半身も痛いし、ほんとなんなの。


痛くてとりあえず土手下の松林に倒れたままで居たら、胸ポケットの電話が鳴るのが分かった。ママかな?と思って電話を取り出す。スマフォだから手袋をしたままだと反応しないため、右手の手袋を取る。そのまま通話ボタンをスライドした。

あ、やばい。なんか、今まで経験した以上の痛さを今、感じた。


そして、私は意識をブラックアウトするという人生初体験をした。
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