10年後---現在。
「…皆、話があるんだ」
夕食を食べ終えた時、綱吉は言った。珍しく、守護者、専属雇われのイーピンも揃っていて。居ないのは、門外顧問のバジルとリョーマ、出張中のフゥ太、『詐欺師』の異名を持つ、雅治だ。京子ちゃん達は日本に行くと今朝方出発した。…里帰り、かな。
「なんなのなー?」
「…どうしたの、ボス…?」
武とクロームが口を開く。 すると、うん、綱吉は頷き、
「実は、暫くの間、日本を拠点にすることになったんだ」
と、眉を下げて綱吉は言った。…久々に、見た、あの顔。ああ、だから京子ちゃん達は、と思いつつ綱吉を見る。
「理由が…あるんスよね?10代目」
「うん。隼人、もちろんだよ」
綱吉は隼人に向かって、頷く。十年が経ち。色々な経験をした各々は、比べ物のないぐらいのめざましい活躍を見せている。皆が名前呼びになっているのは十年の成す得る技の一つだと思う。そして、
「皆の、今までの任務が、ちょうど今日で終わるんだ。ここに居ないバジルやリョーマ、雅治もね。ちなみに、京子ちゃん達は先に日本に行ってもらってる。…それで、次の皆の任務をまだ決めなかったから、今回しかないと思ったんだ」
「日本に行くことが…か?」
「そうだよ、ランボ。並中の地下に日本ボンゴレ基地を作っていたのは皆、知ってるね?そこに行く。イタリア本部は暫くXANXUSに任せるつもり」
「…それは、その任務は、日本に長期に居なければできない任務なんでしょうか?」
「そうだよ、骸」
「…極限に内容が知りたいが、」
了平さんがそう言うと、
「それはな、ジャッポーネのマフィア、一部のジャパニーズ・マフィアの殲滅だ」
リボーンさんが口を開いた。ジャパニーズ・マフィア…ということはヤクザ?でも、ヤクザだなんて。日本に居るヤクザだなんて、規模が小さな、集団であると思うんだけれど。
「諜報部が調べてくれたんだ。…一部のヤクザは、相当酷いことになっている。ボンゴレとして、黙っちゃいられない」
綱吉は、綺麗な笑みを浮かべる。だけど、目は笑っていないし、……怒ってる
「…葵は?連れてくつもり?」
「…ヒバリさん」
「…仲間さ。だから、行くべきでもある。でも、並盛は、隣だ」
「…葵、お前はどうだ?」
リボーンさんが私に聞いた。
そして、恭兄は、私よりあの名前に敏感になっていた。
私、は、
「…行くよ、私も」
「葵…。日本は、あそこは、」
「恭兄、ありがとう…でも、」
でも、
「私だって、進まなきゃ。…嫌だよ、だって、裏切られた場所だから」
一生治らない傷が、私の身体に、心に、残っている。でも、だからといって、逃げ続ける訳にはいかない。
「でも、今は幸せ、だし、それに…もう、関係ないから。私の仲間は、皆、だから」