「ねぇ、どう?」
その人を馬鹿にした様な笑みを浮かべないで
「もう死んでくれる気になった?」
「だ、れがっ…」
「あーあ。もうボロボロじゃない」
そう言って、くすくすと笑った。
馬鹿にしないで、やめて。あんたに馬鹿にされる筋合いなんて、ない。
綾香は私の頬に手を添える。
「なんで、皆、あんたみたいのがよかったのかな?」
私には分からないよ
そうやって心底楽しそうに笑う綾香。
私の頬に添えた綾香の指は少し這ってから、爪を立てた。
分からなくて結構よ。私のことを、あんたなんかに理解してもらいたくない。それに、私にも分からないこと、あるから。
なんで、綾香。
あなたが、こんなくだらないことをしているのか、とか
「青学は手にいれたから、次は氷帝に立海だよ。そのあとに、並盛ね」
「……え?」
「あんたが持っていたの、ぜーんぶ、私が貰ってあげる」
だから、
そう綾香は微笑んだ。そして、レギュラーの皆に殴られ、蹴られ、そう--リンチにあった、私の腹部に容赦なく蹴りを一発入れた。
「か、はっ…」
「だからね」
ぐい、と私の髪を掴んで、顔を上に向けさせた。
「い、たぃ…」
「安心して死んで」
そのまま髪を掴まれたまま、引きずられた。怪我が響いているのか、身体が満足に動かせない。こ、んな、奴!身体が動け、ば。殴り倒してやれるのに。
「い、たっ…ちょ、離してッ」
「このまま死ぬんだから」
痛いのも関係ないよ?
そう笑う綾香。じゃあ、あなたが下りればいいじゃない。違う?
「並盛の友達がどんなに大切なのかな?すぐに私が取っちゃうけどね」
ふふふ、と笑う綾香
「じゃあ、」
さようなら、
どん、と背中を押された。
あれ、身体が浮いてる
---ううん。
私、落ちてるんだ
そして、私は、
鈍い音を聞いて、鈍い痛みを感じて
意識を手放した。
始まりを告げたのはあなた