【とうとう警察も捜査本部を設置!連続闇組織殺害事件!!】
【証拠はほぼ0??早くも息詰まりか?!】



新聞の第一面からして、俺は、っち、と小さく舌打ちをした。新聞を持つ手に力が入り皴を作った気がするが、むしろ作ってやれと思った。息詰まり?なんのことだよ。あの人も、その上の刑事の先輩達も、捜査本部長を努める署長だって、皆努力してんだっつーの。…なんか口調がおかしいな、今日。ムカついてるからか?と中学時代みたいに、フシューと息を出した。たまに癖でやってしまうコレは、あのショット--あいつと初めて試合した時に真似され、あの女に初めて会った時に正体を教えてもらったショットを打つとなれば普通に蘇ってくるものだった。


…【連続闇組織殺害事件】。
それは今世間を騒がせているものだった。警察は頭を抱え、闇組織は震え上がり、下手なヤンキーはこの頃大人しい。同僚がまるでDEATH NOTEだなコレ。キラだろキラ、とかまたふざけたことを言っていたが、あの状況になりつつある。

連続殺害事件。決まって殺されるのは、闇組織。---つまりは、ジャパニーズマフィア。ヤクザだ。ヤクザと言っても、殺された3つの組織は、何れも麻薬をばらまいていたり、拳銃を流していたり、とにかく、度の過ぎた奴らで。だからといって仕方ない訳ではない。

だが、世間の人々やメディアは、あからさまに頬を緩ませることはしなくても、安堵のため息ぐらいはしただろう。そして、何よりも心が軽くなったのが、そいつらに騙され、生活をバラバラのめちゃくちゃにされた人々だと思う。麻薬を飲まされたり、運び屋にさせられたり、暴力や強姦の対象になったり、未だに増え続ける借金の利息に苦しんでいた人達じゃないだろうか。

闇組織の幹部が殺されるこの事件は、同一犯なのかさえ分からない。狙う組織の特徴は全て同じ。そして殺すのは幹部と犯人を攻撃したものだけ。だが、殺され方が違うらしい。俺が見たのは1つの事件だけだが、その事件は、拳銃と刀が使われていた。
あの人が聞いてきた話では、他には自分から自殺したのが数人と何か長い棒か何かで殴り殺されたのが第1の事件で。
第2の事件はあの人と俺と同僚との3人が第一発見者だった。そこでは拳銃と刀で殺された跡が。
第3の事件では焼死だったらしいが、部屋は燃えていなず、幹部達のみだけが焼けていたらしい。ただし致命傷は拳銃だった。




確か、あの人もこの事件の2つ目の第一発見者ということと今までの実績から本部に引き抜かれたはずだ。数週間前までは、俺達と同じ交番で働いていた。

その俺達もあの人の部下ということで本部入りが決まってるし、所謂、昇進だ。





「おい、海堂!メシ届いたぜー?」

「俺チャーハンだからな」

「だったら、早く来いよ、冷めるぜ?」




桃城の声を聞き、俺は新聞を畳んだ。はあ、とため息が出る。新聞を見て桃城も眉を歪ませた。そして、言いたい放題だなよく言ってくれるぜ、と悪態をついた。


最近、乾さんも不二さんもタカさんも、おかしいらしい。綾香がいつもと雰囲気が違うと言っていた。一番おかしいのはタカさんらしく、よくボーっとしてるらしいのだ。近い内にタカさんのところに行くか?だったら今日のパトロールに、私情丸出しだが行くか?そんな風に考えたところで新聞に対する苛立ちは解消されないけど。



「…手塚さん、今日から本部入り、だよな」

「…ああ、俺達も来週からは本部入りだろ」






こんな事件、誰が起こしてるんだ。

…いくら、闇組織だっつっても、簡単に人の命を奪っていい訳がない。





………俺達、ラルツォーネファミリー、だって、それは同じなんだ。










そ し て こ ぶ し を に ぎ っ た

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