--カタカタ。とキーボードを打つ音が幾つか重なって聞こえる。
私は、その音を聞きたくてこの部屋に入ったのだから、煩くは思わなかった。寧ろ心地好いぐらい。
3つのキーボードの音が、段々と止んで、そして止まった。
「…どうかしたの?雅治、正ちゃん、マーモン」
3つの音を先程まで奏でていた本人達の名前を呼ぶ。3人は苦笑しながら、…マーモンだけはフードで口元しか分からないけど、優しい目、優しい雰囲気で口を開いた。
「じゃって葵が気持ち良さそうに目細めてるんじゃもん」
「雅君の言う通り。ここは見なきゃ損だよね。ね、マーモン」
「……この頃、君、白蘭に話し方似てきたって自覚あるかい?」
「え!嘘!白蘭さんにかい?!」
「…で、葵、橋本晃って知っとっと?」
「…橋本、晃?」
記憶を思い起こして、その名前を探してみるけれど、その名前は10年前も今も知らない名前だ。そう、首を横に振る。すると、雅治は、まあ仕方ないじゃろ、と言って、
「これを見んしゃい」
「……んー、橋本、晃。この人が?」
「そ」
パソコンのモニターを見れば、顔写真とともに名前と何か書いてある欄がいくつも続いている。
「…正一、」
「ああ、ごめんね。雅君。
…それ、夏目綾香がボスをしてるラルツォーネファミリーの人間」
「葵の台本にある、ラルツォーネの小石、彼でいいんじゃないかい?」
そう3人は言った。…橋本、晃ね。
「…うん。詳しくは読まなきゃ決められないけど、たぶん、」
「…それと、葵、言いにくいこと、なんじゃが、」
そう言って雅治はマウスを何回かクリックをし、パスワードを手際よく打った。
「…葵ちゃん。これは、事実、だから」
「……これ、ラルツォーネのネットワークだから、間違いは恐らく、0に近い」
私は、3人の言葉を聞いて、不思議に思いながらも、モニターに目を通す。
そして、目はすぐ止まった。
『ラルツォーネファミリー幹部一覧
:
:
手塚国光 属性多数
大石秀一郎 雨属性
菊丸英二 雷属性
不二周助 霧属性
河村隆 雨属性
乾貞治 雷属性
桃城武 晴属性
海堂薫 雲属性
(越前リョーマ 不明)
:
:
以上、28名』
これ、は、
「…一体、どういう、」
「…多分、夏目がその人達を巻き込んだんだろうね。名前だけなら勝手に、て線もあるけど…」
「それには、属性もあるだろう?多分、マフィアだってことを言って、引き込んだんだろうね」
「………そう。じゃあ、」
台 本 の 書 き 換 え を し な く ち ゃ ね ?
「そうじゃな。それでじゃ、葵」
「ん?」
「こいつらがマフィアじゃってことから、こいつらに復讐すると周りが当初の予定より危ない」
「…うん」
「…俺達3人と、ツナとリボーンさんと話したんじゃけど、」
ああ、分かるよ、雅治。
皆に、
「氷帝と立海のメンバーに俺達のことを話すべきじゃなか?」
皆に、私達の正体を話すべき時が来たんだよね。
「…うん。話そう。リョーマも呼んで、ファミリーの皆のスケジュール合わせて…景吾名義で同窓会、ってどうかしら?」
な つ か し い あ の ひ た ち
(同窓会編スタート)