…あんな、葵ちゃんに話しておきたい話があんねん。これは、景吾も、精市も、雅治も、綱吉も、クロームちゃんも、知っとる話やねん。



あ い つ ら の、あの後に犯した、 罪 のことや。



どういうことかは、今から話すから、せやから、落ち着いて、な?








ほな、話すな。

あんな、あれから、葵ちゃんは、葵ちゃんが中学3年の6月になるまで、入院しとって、中学を卒業して、恭弥と了平、骸が向こうの高校に転校、ツナ達は向こうの高校に入学するっちゅーことで、イタリアに渡ったやろ?

俺らは無事に高校に入っとって、勿論のことテニス部に入った。それは知っとるやろ?高1の時の全国大会で四天宝寺が準優勝した時や。勿論立海は三連覇やったし、それも聞いて知っとるやろ?あの時、青学は全国大会初戦落ちや。戦ったんは俺達氷帝やったけど、大和部長っちゅー人は強い人やったみたいやけど、シングルス2まで回らんかったし、まあ手塚達もあの女と離れたか実力のちょっとは出とったし、でも弱かったな。高2、3年の時俺達氷帝が準優勝やったけど、正直青学には失望した。


まあ、俺達が高2ん時や。あの女も高校に入ってきた。その時にな、青学には編入生がおったんや。 谷崎流杉(タニザキ ナガレ)っちゅー高1やった。なんでも精市と戦っとるリョーマ見て、一個上やったんやけど、リョーマ凄いなあ、て思うて、青学で頑張りたい言うて九州から引っ越してきた子やったんや。


やけど、災難やったんは、もうリョーマが青学におらんかったこと、それに、 あ の 女 がおったこと。そして、また あ い つ ら が、まだあの女の虜やったこと。




流杉は、格好ええ奴やったし、性格も明るうてええ奴やった。やから、か分からんけど、ある日、悪夢が始まったんや。

あ の 女 が、流杉に告白したんや。流杉には遠距離の彼女がおったし、まあ、あの女に惚れることはないやろ、なあ?やから、告白を断ったんや。流杉は、有り得んことはしてないやろ?それなのに、あの女は何て言うたと思う?

ん?「私をフるなんて、とか?」やて?
…まあ、惜しい、んかなあ。葵。あの女は、こう言うた。




「何で?意味が分からないんだけど。私をフる必要がどこにあるの?私はお金持ちだし、可愛いし、頭もいいし、いいことばかりじゃない。なんで?彼女?彼女がいる?そんな子フッたっていいじゃない。私の方が絶対いい女なのに。なんで私がフられるの?ああ、ムカつく。あいつが居た時からよ。私の思う通りに進まないっ…!リョーマ君だって、この私に見向きもしなかった…!…え?リョーマ君を知ってるかって?知ってるわよ、勿論ね。あの子、凄く可愛かったし、格好よかったし、私の彼氏にしてあげようと思ったのに、篠原葵なんかを仲間だとかなんとか言ったから、ちょっと傷つけてやったら、大人しくなったわ。ふふふ。あの馬鹿な女も死んだし、その前にリョーマ君はアメリカに渡ったしね。あの女の葬式には泣きそうな顔で駆け付けて、私を殴ろうとしたわ。まあ、皆が助けてくれたし、リョーマ君風に言うとリョーマ君の仲間、かしら?が、庇ってたしね。ふふっ。でも、あの女が邪魔だっただけで、あんなことになるなんて、ね。あなたも、堕としてあげる。覚悟、しなさいよ?ふふ」





で、流杉はその日、具合悪い言うて部活休んで、ストーリーテニスのコートに来てた。そこで、俺と景吾に会うたんや。

事情を聞いた俺達は、氷帝に来るように言うたんや。 勿論、リョーマの仲間やってことと、葵ちゃんが生きとるってこともな。



そして、3日後には、流杉は氷帝に転校できた。他ならぬ、竜崎先生のおかげやな。
クラスは、日吉と一緒に景吾が手回ししたから、安心やったし、部活でも元々流杉は強かったしな。順調に準レギュまで登りつめたわ。



で、あの女はそれが気に入らんかった。
やから、言うたんや。流杉に襲われた、てな。ありえへんかった。あの女が言う"襲われた日"っちゅー日は、確かに氷帝は練習が休みやったけど、流杉は俺達レギュラーと一緒に景吾んちのコートにおったんやからな。

やけど、あいつらがそんなん、信じる訳あらへんやろ?



で、転校の手続きを手伝うてくれた竜崎先生にお礼言う、言うて流杉が青学行った日、流杉はあいつらにやられた。

殴られ、蹴られ、でも逃げんかった。



流杉は、あいつらを説得しよ、思うたんやて。

流杉はリョーマや葵ちゃんに会うたことなかったけど、めっちゃ憧れとった。




「俺、越前君にも葵ちゃんにも会ったことないけど、いつか会いたいです。二人の仲間の人達とも!」










案の定、大怪我した流杉やったけど、大事には至らんかったし、連盟に訴えないでくれ、て流杉も言うてたし、俺達は、何も出来んかった。






でも、その1週間後。


流杉は交通事故におうた。




信号待ちしとる時、中型トラックに撥ねられたんや。



トラックの運ちゃんが言うには、

「誰かに押された様に前のめりに倒れてきた」

て言うてた。


トラックの運ちゃんが、早う気付いて、強めにブレーキ踏んで、めっちゃハンドル切ったおかげで、流杉は、一命は取り留めたんや。



で、流杉も言うたんや。誰かに背中を押された、てな。



やっぱり、て思うたわ。調べてみると、その近くを逃げる様に走って行くあの女を見たっちゅー人が何人もおったわ。






……犯人は、あの女やと俺達は思うた。






流杉?流杉は、死んでへんよ。
今は…、








 俺の家の病院で昏睡状態や。








これは、たぶんあの女の仕業やと思うけど、退院して無事高校生活過ごして、日吉達と一緒に俺達の行ってる大学の初の登校日やった。

日吉達が俺達を真っ青な顔してたずねてきた。どないした、て言うたら、流杉が約束の時間過ぎてもこんくて、連絡もつかん、て。 嫌な予感がした俺達は、流杉を探しに行った。


ちょうど、その時、親父から電話があった。



流杉が、交通事故におうて、意識不明の重体で今、病院におる、って。

車はひき逃げ、で。
普通の乗用車やったらしいけど、目撃者がおらんくて。







流杉はあの日から、ずっと昏睡状態のままなんや。








新たな憎しみと真実と

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