あと、3人。
久しぶりだね、みんな
「…精市」
「フフフッ。久しぶり、葵」
「うん!久しぶりねっ」
ぎゅ、っと精市に抱き着く。ぎゅ、っと精市も同じように抱きしめてくれる。
「それに、雅治と侑士も!」
「葵ちゃん、久しぶりやな」
「ただいまナリー」
精市から離れて、後ろの雅治と侑士に微笑む。ちゃんとハグも忘れない。侑士は、相変わらずの伊達眼鏡の奥の切れ長な目を細めて、にこっり笑ってくれている。雅治に至っては、私の右手の中指に嵌まっている、雪のボンゴレリングにキスをする。そして、こう言った。
「ラルツォーネ、ファミリー」
「……うん、」
「仕入れた情報じゃと凄い事になってるのぅ。復讐者がよくアレを野放しにしてきたもんじゃよ」
と、くつくつと喉を鳴らした。すると、
「そりゃあ、ボンゴレ10代目のお願いだったんだろう?ツナ」
「うん。精市君は相変わらず勘が鋭いよね」
「もちろん、ツナの超直感には敵わないよ」
「…どうでもいいから、群れすぎ」
はあ、とため息をついた恭兄は、綱吉を見て、
「僕、自室で休むから。なんかあったら携帯か内線かなんかで知らせてくれるかい?」
「勿論ですよ、恭弥さん」
綱吉ににこり、と笑いかけて自室へと歩いて行った。
「…ねえ、どう、いう事?復讐者に10代目からのお願い、て」
そう、さっきの話を思い出して言った。
----そうだ。私は知らない。聞いてないよ、そんなこと。
私の心の中が分かったのか、綱吉はふぅ、とため息をついて微笑んで言った。
「凪がポロリと言っちゃったみたいだけど、」
俺達が日本に来たのはラルツォーネファミリーに復讐するため、というのも一つの理由なんだ
「葵、覚えてる?10年前、復讐を必死に止めたこと」
「よく、覚えてるわ。だって…私は あ の 時 は そんなこと、望んでいなかったもの」
「だが、青学の奴らがしたことは、そんなもんで済む話じゃねーんだ、だろ?綱吉」
「景吾の言う通りだね。あの時は葵が否定したから、諦めたけど、」
「俺達はまだ思ってたんや」
「青学は罪を償わなければならない、てね」
「…葵がいくらいいと言っても私達は諦めるつもりなんてなかった。ラルツォーの
事を、許すつもりなんてさらさらなかったもの」
「でも、勿論、葵が否定したから、最初のうちこそ何も企んではいなかったさ」
でもね、と綱吉は言う。
「ラルツォーネの話が入ってきたんだよ。まさか笑っちゃったね。あんな下等なファミリーが、日本の企業を潰してるなんて」
「…まさか、」
「そうよ、葵。私達は、仕事でも、私情でも、ラルツォーネと、あの女とあの馬鹿達に、復讐という名の絶望を思い知らせてあげる為に来たの」
「…正直焦ったよ。葵が今日、青学に行くって聞いたからさ、ね、景吾」
「ああ、精市の言う通りだ。…お前が、あいつらに会って、変わっていないあいつらを見て、傷付かなければいいと思った……」
「…やけど、葵ちゃんは、傷付いて帰ってきた。………そうやろ?」
侑士はそう言った。
うん、とは頷けなかったけれど、私は確かに胸の奥がツキン、と音を立てた気がした
「…でも、葵は復讐する、と言った。……葵が参加するなら、」
「私が、脚本を考えるわ」
私がこの復讐劇を華々しく飾ってあげるわ、脚本家として。
監督は綱吉。観客は私達。
出演者は、皆と、あいつら、あの女。
「『闇の脚本家』として、この復讐劇、脚本を書くわ。最高の、生き地獄を」
闇の脚本家は立つ