「それで、葵はどうしたい?」
「私、は、」
ひとしきり泣いて、少し落ち着いてきた頃に綱吉は聞いてきた。
私は、どうしたい、の---?
「私、は、」
―私は、
「…あのね、綱吉」
「うん、いいよ。話して?」
「…今日、青学に行ってきたのは知ってるでしょう?門と校舎を見た正直、吐きそうだった。でも、進んだの」
「うん」
「そして、テニスコートに行ったの。あそこは全てを物語っているから」
「うん」
いつ、何の、どういう風な「全て」
それは、私が仲間だと、ファミリー以外の仲間だと信じてた人達に裏切られたことをさす。
信じてはいたし、目を覚ましてくれるだろうとも、思っていた。だから、どんなに傷つけれられようが、罵られ様が、あそこに居た。
そして、私は殺された。
「…あの人達は、楽しそうに幸せそうに笑ってわ。…別に、それはよかったの…」
「うん」
「……篠原葵を、未だに裏切り者だと信じてた。あの女の嘘をまだ信じていて、あの女は皆の中で笑ってたわ」
「…………」
「…私、悔しかった。凄く、悔しかった。大人になって、少しは考えてくれて、今なら気
付いて、せめてあの女とは手を切ってると思ってたの」
「……ああ」
「……でも、違った!!」
あいつらはっ……。
あいつらは、まだ、目を覚ましていなかった。
「あいつらは、篠原葵を殺したも同然なのに、未だに自分達の罪に気付かず笑い合ってるの…。我慢、出来ない…」
「…葵、」
「…綱吉。私、復讐したい…。あいつらは、篠原葵の居場所と命と人生を奪ったの…。この私も、あいつらに付けられた傷が、身体に残ってる」
「……」
「復讐、する」
私、決めたよ。
「復讐するわ」
「だと思ったぜ、あーん?」
「…え?」
聞き間違い、だろうか。
…いや、違う。
この声、
「あ、景吾久しぶりだね。来てくれたんだ」
「よう、綱吉。仕事が今さっき終わってな。お前らに会っておこうかと思ってな」
声のした方向に振り返り、綱吉が笑いかけた相手を見る。
嘘、う、そ。最近、会えなくて。皆にも。まさ、か。あなたに、ここで、会えるだなんて、思わなかった。
「景吾!!」
「っ」
間違いない。景吾だ。そう思ったら抱き着いていた。
あの時、私の数少ない、事情を知った上での味方。その、一人。
「あーん?葵、久しぶりだな」
「さあ景吾?葵の頭を撫でたその手が血まみれになる前に葵を離しなよ」
「…恭弥、」
「あ、ヒバリさん、お帰りなさい」
「ただいま、綱吉。
ヒバリじゃなくて恭弥だよ。景吾の前だから大丈夫な筈でしょ?」
「そうでしたね」
「ったく…景吾も、入れなきゃよかったかな」
「恭兄が入れてくれたの?」
「他の3人も、ね」
私を景吾から剥がしながら、恭兄はそう言って、小さく頷きながら、微笑んでくれた
決めたことを