「…親友、?」
大石先輩が、不思議そうに聞く。私が口を開く前に凪が口を開いた。
「…あの子は、ここに通ってたはずなの。当時中2。だけど、突然転校したあと、連絡がつかないの。あの子、一人暮らしだったし」
「‥そう、なんだ‥」
「…でも、凪。何回も言ってるけど、あの子のことよ。また何か仕出かしただけかもしれないわ」
「でも10年も連絡が無いなんておかしいよ」
「それは、そうだけど」
さあ。助け船、出してあげたよ。
篠原葵が、何かいつも仕出かしてたみたいに、言ってあげたんだから。
……あなた達が、今、どう思ってるんでしょうね。
「あの子‥って誰、だい?」
「凪、もしかたら、」
「……皆さんなら知ってるかも、」
「…篠原葵という子です」
さあ、
あなた達はどんな反応をする?
「‥あなた達、知ってる…?」
凪がそう聞くと、
「‥知らないな、そんな子」
知らない、と答えた河村先輩。
「‥え?」
「…知らないって言ってるんだにゃ」
そう言う菊丸先輩
「‥英二の言う通りだよ、知らない」
それに続く大石先輩
「悪いが…そんな子は記憶にないな」
眼鏡をあげながら言う、乾先輩
「…………よ、」
「ん?なんだ?」
「嘘よッ…。あの子がここに通っていたのは確かなの。あなた達が知らなくても、っあなた、当時2年生だったわよね?ねえ、知らない…?」
「知らねぇな、なあ」
「ああ、知らねぇーな、知らねぇーよ」
どういうこと?
罪に気付いて、心を入れ替えて昔のことに蓋を閉めたの?だから、深く関わった人以外には知られたくない?
…それでも構わない。ただ、もう一つの可能性だけ、避ければ。
もう一つの可能性…それとも…。
「ああ、やっぱり遅れちゃった?」
まだ騙されてるから、嫌いな奴の存在なんて消したくなった?
嘘ばかりの私とあなた