「ああ、皆さん、テニス部だったんですか。…あ、凪。青学の中等部って言えば、」

「‥10年前の全国制覇」

「そうそう。…えっと、見たところ、皆さんそれくらいではありませんか?」



ああ。
…私のこと、忘れていなかったのね。
忘れていたら、そんな、露骨に、雰囲気が変わることなんてない。忘れていなかったからこそ、あなた達は、私、を思い出して、嫌になったのでしょう?思い出したくなかったのに。…じゃあ、それはどちらなのかしら?私が無実だと分かったからこそ、私を、思い出したくない?--それとも、

 私がまだ悪者かしら?


…まあ、私が“篠原葵”だということは分かっていないようだけど。



「…ああ、そうだ」

「……、ところで君達は?」



手塚部長が頷いた後、菊丸先輩が話を変える為だろうか、そう言った。



「私達、ですか?私は、こういう者です」



そう言って私は名刺ケースを取り出し、最近作ったばかりの名刺を一枚取り出した。そして私はそれを、いつの間にか周りに集まってきた彼らを見て、微笑み、一番近い桃に渡す。



「…はじめまして。私、雲雀葵と申します」

「、葵…だって……?」

「?どうなさいました?」

「せ、精神科医、」

「はい」




私の、偽の職業。ああ、偽と言っても医師免許を取ってある。イタリアに居た時もこの医師免許があって、任務の時に役立った事は少なからずある。精神科医と言っても、他に外科とか内科とかも研修の時に重点を置いてたし、選択出来たけど、精神科医なら、人の心をコントロール出来る。勿論、敵となる人のみだけど。



「…ほら、凪も渡して?」

「‥六道、凪」



凪もそう呟いて名刺を渡した。




「新聞記者、さん」




今回の凪は新聞記者という職業についている。これは、新聞社の部長をやってるジャッカルが手配してくれた。勿論、綱吉が話したんだけど。(私達がマフィアだと言うことは一部を除いて、氷帝も立海も知らない)



ああ、思い出してくれてるよね?






「何しに、ここへ?」





焦ってる?今更だけど、新聞記者が、10年前のことを調べにきた、って。





「今日、私達は、10年前にここに通っていた親友の行方を調べに来たんです」








痛い程憎い存在だった

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