「とりあえず、私が監督の永崎だよ。みんな、よろしくね」


にこり、とスタッフ陣の真ん中に座っている40歳前後ぐらいの監督にしては若干若い年の男性は微笑んだ。スタッフ陣が入ってくるのと同時にさっきまで居た白い奴は出て行った。なんだあいつはドラマに出ねえのか、とか思いつつ実を言えばあの主人公役っぽい女子と仁王先輩の関係が凄く気になる。すると監督がまずは自己紹介からねと跡部さんに視線を移した。こくりと頷いた跡部さんは立ち上がる。


「…まあ、自己紹介って言っても俺達は顔見知りが多いから、ボンゴレ側からやってくれるか?」


…思ったより下手。つーか跡部さんなら、はっ俺様から自己紹介をしてやる有り難く聞きやがれ的な、うん。でもさっきの様子的に跡部さんとか幸村部長も知り合いっぽいし。そう思っていれば、ぼんごれ側って言われた奴らの何人かが頷いてぼんごれ側の全員の視線が一人に集まる。くしゃくしゃの黒髪のちっせえ子供の隣に腰掛けてにこにこと笑っていた奴だ。


「いいよ?じゃあ、まずはオレからだね」


そう言って立ち上がったハニーブラウンに視線は集まる。少し小柄。同系色の瞳は順番に俺達(立海、氷帝、青学)を見渡してもう一度微笑んだ。


「こんにちは、皆さん。オレは沢田綱吉。歳は17です。役者は初めてですが、似た仕事なら何度か経験があるのでよろしくお願いします」


にこりとまた微笑んだ沢田に拍手が送られる。そのまま横の子供がランボだとか、銀髪は獄寺隼人、黒髪の爽やかな方が山本武、白色っぽい髪の奴が笹川了平、変な髪形の男の方が六道骸、女の方がクローム髑髏とかと、順番に自己紹介が続くけど、正直覚えられそうにない。…そんなこと言ったら真田副部長にたるんどるとか言われそう…。


「じゃ恭弥さん」
「……」


沢田に名前を苦笑されつつ視線を送られながら呼ばれたっぽい人は、むすっとして不機嫌そうだった。しばらく沈黙が続き、その人はいやだとだけ小さく言った。沢田はさっきの苦笑を深くする。


「恭弥、」


目が全く笑っていない笑顔のままの幸村部長に言われてもお構いなしだ。監督なんかは、変わってないなあと笑っている。まじなんなのこの空気。ていうか、なんで幸村部長の冷たい目(断定)を向けられて、あんなに冷静な訳。すると、さっき仁王先輩にくっついてた女がその人に声をかける。


「恭兄?」
「…群れてる。気分が悪い。咬み殺したい」
「…我慢してよ、さっきツナが終わったら一戦してくれるって言ってたじゃない」
「…綱吉、それはどこまで?」
「…ああもう!分かりました!全部ですよ全部!ただし、並盛に帰ってからですよ!」


呆れた様にため息をしつつ、苦笑いをした女、は恭弥って呼ばれた人に向かう。そこで沢田と、いっせん?…一線?一戦?え、戦うの?すると沢田がヤケになった様に言った。そうすれば、恭弥と呼ばれた奴が立った。


「…雲雀恭弥。他のこの子達と一緒に来た。群れてると咬み殺すから」


え?あ、はい?かみ、殺す?って、どういうことですか?幸村部長をそっと伺えば、苦笑いだ。…ったく、て跡部さんが呟いてる。


「…恭弥さん、らしいや、まあ、名前よろしくね」


…沢田は案外適当な奴だった。えええ。お前まさかのツッコミじゃないパターンなのかよ。


「…うん。えっと、」


雲雀恭弥の隣から立った女子に皆の視線が集まる。


「雲雀名前です。あ、恭弥は私の兄です。よろしくお願いします」
「え、それだけ?」
「…精市…、他になんて言うのよ」
「例えば住んでるところ?」


にこにこと笑う幸村部長にため息をついて、座りかけた雲雀名前だったけど、


「…住んでいるところは、内緒です。今は並盛に帰ってきてます。後は知りたい人はツナ、あ沢田綱吉に聞いて下さい」
「え、オレ?!」
「ツナが私達のボスなんで。…皆さんにしたら部長みたいな感じです」


え、ボス?ほとんどが呆気にとられてれば、監督さんが声を上げて笑った。

え、なに、なんなのこの打ち合わせ!
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