「これ、なんだよぃ」
「台本」


にこり、と笑った幸村君に俺だけじゃなくて他のメンバーも、あ、仁王は知ってるぽいなあの顔。でも仁王だから詐欺ってるかもしんねぇからなあ。とにかく、皆は、クエスチョンマークを頭の上に浮かべるぐらいの顔をしている。


「えー…と、…【復讐のサジェスト】?」
「サジェスト…暗示、という意味の英単語だが…これは、確か、」


柳の目がすっと開かれる。あ、やっぱ知ってんだ。つーか、これ、どっかで見たことある題名だよな。確か、…確か、本屋で、


「最近、新人賞をとり、累計100万部越えのベストセラーだな。作者は二人組との噂だ」
「…ふむ。その、【復讐のサジェスト】が、なぜ、」


そうだよぃ!それそれ!復讐のサジェストは本屋でズラーッて並んでたあれだ!真田がそう言うと、幸村君はフフッ、と笑った。あ、またなんか隠し事してるな、多分だけど。でけえ声で言えねえけど!


「勿論、仕事だよ。喜んで、皆?しかもメインキャラだから」
「…メインキャラ、ですか。…原作は勿論読みましたが、もしかすると復讐相手ですか?」


一足早く台本をめくっていた柳生が呟いた。そうじゃのぅ、と仁王がくつくつと喉で笑う。ば、っと他の全員も嫌な予感がしたんだろう(現に俺はした)。台本を全員がめくった。くすくすと笑う幸村君は言った。


「勿論、味方の役だよ、主演じゃないけどね」


なんだよぃ、よかった。ええッ主演じゃないんだ俺達!と叫んだのは赤也で、幸村君はにこりと笑ってうん、とだけ返した。はずなのに何故か寒気がしてるんだけど。

台本をめくった最初のページは【復讐のサジェスト】と書かれているだけだ。次のページを見る。するとそこには、





【登場人物:配役
(主人公)
雲雀(名字)名前……雲雀名前

沢田綱吉………沢田綱吉
獄寺隼人………獄寺隼人
山本武…………山本武
:
越前リョーマ…越前リョーマ
:
:
跡部景吾………跡部景吾
忍足侑士………忍足侑士
:
:
幸村精市………幸村精市
真田弦一郎……真田弦一郎
柳蓮二…………柳蓮二
仁王雅治………仁王雅治
柳生比呂士……柳生比呂士
丸井ブン太……丸井ブン太
ジャッカル桑原……ジャッカル桑原
切原赤也………切原赤也

手塚国光………手塚国光
:
:
夏目綾香………夏目綾香】


そう、大人数、ていうかドラマにしては多すぎる人数の名前がそこにざっと並んでいた。ていうか、ほぼ本名じゃね?これ


「これね、原作者の希望で俺達に配役が回ってきたんだ。なんでも俺達をモデルに作ったお話らしくてね。名前がそのままなのも、それだから」
「あの、幸村君?」
「どうしたの、柳生」


すると柳生はくい、と眼鏡を押し上げながら言った。氷帝、青学、四天宝寺以外のこの方達はあまりお名前をお聞きしませんが、と言った柳生にフフッと幸村君は笑った。


「…会ってからの、お楽しみ、だよ?」


くつくつと仁王も笑った。…すっげえ楽しそうだし。ま、打ち合わせとか色々あるんだろうし。すると、赤也が言った。


「打ち合わせとかいつやるんスか?」
「顔合わせが今日だよ」
「……は?幸村、それは?」


やだなあ、真田。くつくつと笑った幸村君は綺麗だ。


「今日、顔合わせだよ。ね、仁王」
「そうじゃのぅ。1話放送まであと1ヶ月しかないしのぅ」


それに赤也が叫んで真田が喧しい!と言うまであと3秒。お前がな、と柳が言うまであと4秒。
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