すれ違ってまた | ナノ

▼this morning
とりあえず、あのあと財前さんと3時まで飲み続けた。実習前にいいのかと財前さんは心配してくれたんだけど、私ってザルに近いし滅多に酔わないタチなんだ、これが。でも、やっぱり実習前ってことで、ワイン2杯しか飲んでない。


「……え?」


朝起きたら、ソファで財前さんが寝ていて、私は寝室のベッドで寝ていた。…全然記憶ないなあ、寝室行った。
飲み続けたっちゅーても、財前さんががばがば飲むの見ながらゆっくり2杯飲んだだけやし。…寝ちゃったんだろうなあ。
とりあえず、目覚まし時計の時間を確認。08:30。よし。大丈夫。シャワー浴びよう、うん。そう思って着替えを持ってお風呂に向かう前に財前さんの上にタオルケットを広げた。夏だからって言うても、風邪引いたらあかんし。


「…おはよう、ございます」
「…おん。勝手に作ったで」
「…ありがとうございます…」


シャワーから上がって頭にタオルを被って風呂場から上がれば、財前さんがキッチンに立っていて綺麗なスクランブルエッグが出来上がっていた。スクランブルエッグに綺麗とかあるのか分からないやけど。なんだかレストランで出てくる感じのだ。財前さんはそのまま今度はソーセージを沸騰したお鍋にいくつか入れて私を見た。


「…はい」
「あ、はい」
「勝手に色々やって嫌やった?」
「あ、いえ。大丈夫ですよ。…あ、昨日の夜、私寝落ちしちゃいました?」
「ああ、勝手に寝室運んだ。…たぶん何も見とらん」


そう財前さんは罰が悪そうに言った。…別に気にしなくても大丈夫なんやけど。寝室にエロ本があったりする訳やないし。その前にそんなもの、持ってないんやけどな。


「ありがとうございます。そない気にせんでも大丈夫ですよ」


そう言えば、緩く口元を上げた財前さんは、菜箸の先でくるりと円を書くと、私に使ってもええ皿を出す様に言うた。

なんだか、久々の一人やない朝ごはんにくすりと笑いが漏れ、そのまま私はよくお母さんに返していた様に、はーいと間延びした返事を返した。


120201
遅くなってすいません…そして、もう財前が皆無…
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