すれ違ってまた | ナノ

▼all night...?
さて、頷いてしまった私に改めてもう一度確認をした財前さん。それにも頷いてしまった私は、今、財前さんから変なものを見るような目で見られている。


「…俺から言うといて、あれやけど…もう少し危機感持てばええんとちゃうん?」
「え、はい…。まあ、でも、財前さんみたいに格好いい人が私なんかを相手する訳ないですし、困ってるんですからお互い様やし」


そう言うと小さくため息ついた財前さんは、小さく、ほんの小さくやけど笑って。おお。格好ええ。すごい。


「…ほな、泊めてもらうけど、明日大丈夫なん?」


財前さんがそう言って時計を指差した。時計は真夜中の深夜1時。私は明日から実習の顔合わせがあるだけやし、サークルもこれから休みに入るし、バイトはちょうどない。そう言えば、


「…自分一体いくつやねん」
「24ですよ」
「…なんや、自分、浪人したんか?」
「まさか!医大生で、明日から実習なんですよ」


そう言えば、自分頭ええんやな、とまた少し笑って。すると、財前さんは少し顎に手を当てて考えるみたいになった。そして、


「実習、遅ない?」
「あ、四天宝寺医大の附属病院に行くので、今年は人数多くてちょっとずらすってなって。それに、私春口に整形外科と内科に行きました」
「…へえ。ほな、明日からはどこの実習行くん?」
「小児科です」


そう言うと目を見開いた財前さん。え、なんかあったの!?するとすぐに今度は面白そうに笑って、ほな俺も少し話すわと言って、いつまでそこで正座しとるん、とさっきから正座しとった私を自分の横、ソファーの上に座らせてくれた。そして


「俺は四天宝寺大学理学部の院生や」


そう言って、あとなに話せばええ?と見てくるので、それだけでええですよと言えば、不思議そうな顔をされた。やって、


「やって、財前さん、それぐらいしか初めて会った時に言わなそうやし」


そう言えば、今度は驚いた感じになって、そして頭をがしがしと撫でられた。え、ちょっと……痛いです、財前さん!


111230
相変わらずの財前行方不明率
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