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話が途切れるタイミングを測っていたかのように一際華奢な女子がコーヒーのお代わりを持ってきた。齢十の子供だ。
用を済ませ、骸にさりげなく一礼したかと思うと、雲雀はその子供を呼び寄せて指示する。今度は、重そうなファイルのたばを小さな腕で抱えて戻って来た。
ご苦労さま。そうそっけなく雲雀は言い放ち、その中の一つを抜き取って骸の方に投げた。
その後は目もくれない。
危なげなく其れを受け取るとおやおや、と骸はブルブルと震えている子供の腕からその重すぎる荷物を支えてやる。何とも紳士的な行動だ。
お礼と共に頭のツインテールがぴょこんと跳ねる。

「しつれいしました、ミスター」

年にしては流暢ではっきりした口調だ。

「そんな!気にしないでください。」

骸はにっこりとほほ笑む。そして、骸ははたとその子供の顔を見やる。

「あなた、」

子供は不思議そうな顔をしたが、骸の容姿とその十数年のブランクの向こうの記憶にその顔を見つけ、はっと子供の息をのむ。
互いの顔を見たまま止まっている二人に雲雀が顔をしかめる。

「何、君たち知り合い?」

「いいえ、では、私はこれで失礼します
Mr.ヒバリ」

逃げるような後姿の後に残ったのは、二つのカップ。一部始終を見ていた骸は暫く呆然としていたが、やがて目の前の事実と予想に整合性が取れたらしく、クツクツと掌でその唇に笑みを籠らせ始めた。可笑しくてたまらないようだった。

「雲雀恭弥、全く君は、面白い縁をお持ちの様ですね」

骸の言葉は意味深で回りくどい。人をイラつかせるのが趣味の様な男である。雲雀も深くは受け取らなかった。

「……君、頭沸いてるの?」

「クフフフ……来世でも思いはそのままに。

僕は君が些か羨ましい」

骸は笑うばかりだった。

さて、面白い玩具が見つかった。

どう引っ掻き回してやろう。



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