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「今年はどうなの?少しは骨の有りそうなのは居た」

面倒くさそうに傍に控える草壁に問う。草壁はファイルを捲った。
立派な一組織として機能している風紀財団へ入る為の試験は体力、知能、容姿、全てを試される。
それに雲雀は全く干渉しない。全て煩わしいことは草壁に任せだ。
放っておいても出る杭は嫌でも目立つ。有能な奴はその内自力で上にあがってくるものだ。

「今回は入隊者11名ですね。稀に見る豊作ですが、……?」

「……如何したの」

書類に目を落としていた草壁がふと困惑した表情を見せ、黄色の鳥を戯れさせていた雲雀が聞く。

「い、いえ、書類に不備が有ったようで、すいません恭さん。
今日全員集めてますが、どうします?面通しますか」

一人ひとりの名前を読み上げていく声は雲雀の頭を素通りする。目ぼしい名前も見当たらないが、最近抗争もなく取引も滞りなく順調でまるで暇、一時見せた草壁の狼狽が雲雀の気まぐれを誘った。

「ふうん、いいよ。たまには直々に僕が試すって言うのも有りかもしれないね」

先ほどの鷹揚な態度は何処へやら、カツカツと速足で外へと向かう。

「あ、恭さん、何処へ?!」

「表だよ。居るんだろう、下に。丁度いいじゃない、一撃で倒されるような軟弱は風紀にいらない。いいね」

手になれたトンファーを振るって、どんな獲物が居るか舌なめずりをする。去年は、事務ばかりで実践の方は町のチンピラに毛の生えた程度の奴が殆どだった。
今は直ぐに使える人材が欲しい。少なくとも、雲雀に一撃でやられない位の少しは骨のある者。
重い応接間の扉を開けさせると、予想通りと言うのか屈強な腕に覚えのある男たちが驚き顔で自分を振り向いた。ワンテンポ遅れてその上背の男たちのなかに埋もれる様にいる小さい後ろ姿はゆっくりと振り向く。
アーモンド形の大きな瞳が自分を捉え、揺れる。呆気にとられる雲雀は自分より半メートルは低いソレを見下ろす。

「なにこれ」

齢十ぐらいの小娘が何故こんな場所に居るのだ。

やっと、会えたね。





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