4

どうしてこんな事になったのか、もう、頭が付いて行かない。平和に過ごしていたのに襲われて、助けられて助かったと思ったら、また襲われて次は見ず知らずの場所に居るし。スケブやペン、お気に入りのポシェットは無くすし、服はドロドロになるし気付いたらもう洒落にならない時間になってるし。もう、断言しても良い、今日は厄日だ。今のこの時間も災難は現在進行形な訳で………。

どうしてこんな事になった……私は何故かフカフカのソファーに所在なく座り、両手でティーカップを持ちチビチビと中の紅茶を口に含んでいる。香りや味を楽しむような余裕は全くない。部屋の豪華な装飾と、天井にシャンデリア。目の前のテーブルの上には花柄のティーポットと、それと揃いのティーカップが離れて二つと、可愛らしい砂糖菓子。さっきあのメイドさんが持って着てくれた物だ。シチュエーションとしたら、19世紀イギリス貴族の優雅なティータイムと言う感じなのだが……
私の目の前のには足を組んだオカ…さんが優雅に紅茶を味わっている。………何気にカップを持つ手が可愛らしく小指が立っている事は突っ込んではダメだ。
私が全神経を集中して伺っているのは、私の右斜め向いの長椅子に堂々と仰向けに寝そべった彼。私の命の恩人と呼べる銀髪の人は、負のオーラを漂わせて長い足をどかりと投げたして、イライラと体を揺すっている。私の向いの人はフォローする気も無いらしく素知らぬ顔でゆっくりティーカップを口下で傾けている。私は勿論おびえている訳ですが。誰も何も喋らない、聞こえるのは静かに食器が立てるカチャカチャとした音だけだ。取り敢えず、最高に機嫌の悪い彼が怖い。
私が彼と再会した瞬間、心を満したのはやっと安心出来る人に出会えた喜びで。その状態の私が異常行動をしてしまうのは、毎度の事でありまして…要するにわき目も振らず走りよってしまったのだ。それだけならまだいい、問題なのは私の格好でありまして……それも忘れて激しい動きをした事でタオルが………その後は言わすもがなです。嫌に焦る彼を不思議に思いながらも、嬉しさに両腕掴んでを笑顔で呑気にあなたがスクアーロさんだったんですね、あの時はありがとうごさいました、とかほざいた自分を殴りたい……。見られた………完璧に見られた……そりゃ大層な体じゃないけれども、胸だってぺたんこだけれども……私だって年頃の乙女なんだよ……。
そんな私達をニヤニヤと見ていたらしいオカマ…さんに、スクアーロさんはマジギレし、私は私で自分の諸行にただ呆然。まさに修羅の空気突入である。
今は目の前の彼女(?)のピンクのネグリジェをだぼだぼのまま借りて着ている。やっぱり、この人はオカマさんだと心中でおもった。
ああああ、恥ずかしい恥ずかしすぎる…私お嫁にいけないかも知れない……

私やスクアーロさんの殺伐とした空気を全く無視して、お茶にしましょうと可愛らしく(……)ウインクされて、今正に私達は彼女のペースにスッカリ巻き込まれている。


彼女は持っていたカップをカチャリとソーサーに戻し、ふうと一息ついてからここで初めて私に目を映した。やっと会話をしてくれる気になったのだと分かる。


「……さあ、おじょうさん
いろいろ立て込んで今さらだけど…あなたのお名前は?」


隠し立てする必要もないので、素直に答える。第一、彼女の食えない雰囲気に全く嘘が通じないような気がするのは、どうなんだろう。

「そう、ユイ
かわいい名前ねぇ!
私はルッスーリア!!
ルッスお姉様、とでも呼んでねん〜」

うふふんと笑うルッスーリアさんに若干引く。あの分厚いコートを脱いだら、かなりムキムキの筋肉でコーティングされている腹に胸板。それでお姉言葉使われて引かなかったら、なんて神様だ、私はそんな心持ち合わせてはいない。ちょっとマリアさんにキャラ被っていると思った、けど彼女はちゃんと女の人だ。

「あ……はい…よろしくお願いします………ルッスーリアさん……」

取り敢えず挨拶はしておく。一瞬迷ったが、お姉さま(はあと)なんてとてもじゃないが呼べない。あらん、小さいのにしっかりした子ね御丁寧にどうもとちょっとびっくりした様子のルッスーリアさんにまたかと思うが、最近慣れた。どうせ私は見た目幼いさ……ははっ。

「あなた…この馬鹿、スクアーロとどうゆう関係かしら〜?」

誘拐強姦ロリコン?ととんでもないルッスーリアさんの予想に、スクアーロさんの怒りねボルテージがまた上がってゆく事が手に取る様に分かる。冷や汗をかく。
スクアーロさん、ごめんなさい本当にごめんなさい、不快な物を晒してしまって、その上そのせいで変態扱い…!!あなたは私を助けてくれただけなのに………お怒りになられるのもご尤もです本当にごめんなさい………!!





[ 50/114 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -