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『わたしは そんなしんぱいして いただかなくてもだいじょうぶですから
ろーまりおさんが こまっていました
おしごと たまっているとか
きにせず おしごとのほう がんばってください』

「ああ、ユイまで、そんなこと言うなよ!!だってよーやってもやっても終わらないんだぜ、あの書類の山!!」

聞きたくないと耳を塞いでいやいや首をふる。

「あれは一種の拷問だぜ?ずーと机に座りっぱなしで、腰痛くなるし、オレ、デスクワーク苦手なんだよ………。
しかも、やっとひと段落ついたと思ったら、どっかに消えちまうんだよやった分が。ちょっと置いといただけなのによ、パアッと!
おかしーと思わねー?何かしらの力が働いているとしか思えねーよ!
………ぜってー何かが妨害してる、そうに決まってる、神的な何かがオレにやるなって言ってんだ…うううううう」

肩を落として呟いた。駄々をこねている子供のようだ。

そりゃーグチャグチャの紙束の中に紙放置してたら、紛れて行方不明にもなるでしょうよ。神的って、不注意は自分のせいで、それをちゃっかり都合よく理由にしている。

『だからって まいかい にげているんですか
ろまーりおさんが かわいそうです
それは でぃーのさんしか できないしごとなのでしょう

それを きちんとやらないのは むせきにんではないでしょうか』

ちょっと厳しめに碧眼を睨んで、ちょっときつめのことを言ってみる。

でないとロマーリオさんがあまりにも不憫でやるかたない。その仕事の時間が私に会うために使われている。寧ろ現実逃避に私が良い出汁として使われているのかもしれないが、本当申し訳ない気持ちになる。ディーノさんのこのお気楽思考のせいで、毎日毎日捜索にこのお屋敷中を駆けずり回っているのを私は知っている。彼の苦労が目に浮かぶ。

すると、私の睨みを受けたディーノさん、一時停止したあと、少し頭を垂れた。金糸がサラリと顔にかかり表情がうかがえないので、私は少し焦った。

少しきつく言いすぎたかのかも。
ディーノさんは行為で来てくれているのだし。彼にも悪意があってやっているのではないし、ちょっと辛抱が足りないだけで。私の事を心配してくれているのだと私だって本当は知っているんだ。

反省もしているみたいだしと、罪悪感を感じて何かしらのフォローを入れようとマジックペンを握り、スケッチブックのページをまた一枚めくる。

しかし、それは無駄な心配だったと直ぐに気がついた。


「――ユイ…………
そんな気を使わなくてもいいぜ、お前の言いたいことはよーく解る。
オレのことを心配してくれてるんだよな?

でもな、ココにいる以上大切な家族だ。
だからさ、我慢せずに何でも言っていいんだぜ?
それに、お、オレも、お前のこと、…………い、妹みたいに思ってるしな」

へへっと少し頬を染めて私から目を反らしながら呟き、大きな手がガシガシと私の頭を撫でた。
そして私は。

はい、なぜそうなる。
全然全然分かっていない、理解していない、反省していない!
思わず頭を抱える。具合でも悪くなったのか?的外れにおろおろ心配しているディーノさん。あなたのせいですから―!!!耐えろ、耐えろ、耐えるんだ私。大人になるんだ私!!


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