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「十代目、昨日は大丈夫でしたか!!」
今朝からリボーンにベッドから蹴落とされ、銃をぶっ放され、散々な目にあったツナ。
げっそりした顔で教室に顔を出すと、衝突する勢いでツナに駆け寄ってきた男がいた。
ツナの自称右腕の獄寺隼人である。
「クラスの奴から、十代目が拐かされたと聞きまして!お怪我はありませんか!
その身体の傷、まさか……敵襲ですね!
くそ、俺がついていれば!!」
「いや、これはリボーンのせいだから!
って、かどわかって……て」
「よーす、ツナ、獄寺」
少し遅れて教室に、野球の朝練を終えて来た山本がひょっこり二人の間に入る。今日も元気なーと朝っぱらからテンション高い獄寺をカラカラ笑った。
「お、もしかして!
獄寺も聞いたのかよ、ツナも隅におけないよなー」
山本はニヤっと悪戯顔でツナを肘で小突きだした。ツナには何が何だかわからない。
「とぼけんなって!
ちょこっと悲しいぜ、オレは。
相当なべっぴんさんだから、紹介したくないってか!やるなツナ!」
「おい、テメェ!!」
遂にはバンバンと背中を叩きだして意味不明な事を言い出すので、咽せつつ山本を落ち着かせ、仔細を聞き出す。
「仲良く手ぇ繋いで、下校したってゆーんなら、コレはもう放課後デートだろ」
「違うから!
デートってなんだよー!
だいたい、知らない人だし!」
ツナは青ざめて否定した。
昨日の一コマがクラス全体に広がっている様だ。噂は尾びれ背びれ付きまくっている。
京子ちゃんに誤解されたらどうしよう。ツナがまず考えることはそれだ。黒川花と話している彼女がすごく気になる。あの無邪気な笑顔で、ツナ君って彼女さんがいたんだね、応援するねと言われたら。今すぐ釈明に行きたい。最悪だー!なんだってこんな事に。
「本当に知らない人だったし、そうだ!ランボだ」
昨日の事を掻い摘んで話すと、獄寺はふかかいそうに顎に手を当てて思案した。
「ボヴィーノファミリーのヤツじゃないですか?」
「え?」
獄寺の口から出た単語を聞き返すツナ。ボヴィーノって何だったっけ。
「あのアホ牛ですよ」
獄寺は自分の推理を披露した。
「前から俺、気になってたんすけどアイツ、十代目の家に居候してますけど、
ボヴィーノが流石にあの糞ガキを一人でジャッポーネに送り出しますかね?」
ランボはリボーンを倒すためにツナの家にやって来た。今は沢田家の居候だが、ランボ自身のことは余りしらない。
「目付役がいても可笑しくないじゃないですか」
獄寺はやはり頭がいい。ツナには考え付かなかった。あの女の人のこちらを知っている様な口ぶり、マフィアの関係者ならば、ツナを知っていても不思議ではない。と言うことは、
「じゃ、あの女の人も、マフィアー!!」
「へー、坊主にねーちゃんがいるのか!あってみてーなー」
「お前は何を聞いてたんだ、この野球バカ!」
勿論ツナの中では京子がマドンナで一番だが、中学生のツナにとっては女子高生は大人な響き。
しかし、全く誤解も甚だしい噂にツナを巻き込んでいる辺り、ツナに受難を齎すあの家庭教師と同等、と言うことの証明なのかもしれない。
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