変なことになっちゃった

昼休みの一幕がクラス中に広まり、今やか弱い女子を泣かす怒ると怖い人、と言う評価が菅原について回る。原因はよく分からないが取り敢えず謝ったほうが、と言う遠回しの責める様な空気に菅原は針のむしろに立たされた様。生きた心地がしない。丸で、少女の涙はクラスの大事だと言わんばかりにクラスが一体になっている。因みに菅原をよく知る友人はぽんと軽く肩を叩き無言で首を横に振ったのだった。

「まあ、よくわからんが、ドンマイ、スガ☆」

「お前、死ねばいいのにな」

「ちょ、まさかの死亡フラグ?!シミジミ言わないでくんない!?」

菅原の不遇を面白がる友人を小突き回して鬱憤を発散する菅原。涙目で言い表しにくい微妙な顔をされると怒りも失せた。

「ま、泣かせちゃったのはしょうがないとして、誠心誠意謝っちゃえばいいんじゃね。
あの性格の人だから許してくれるっしょ」

「オレも謝りたいのはやまやまなんだよ。今のままじゃ嫌だし、申し訳なく思ってる、だけど」

頭を抱えて唸る菅原。聡い友人は菅原の思考を悟って、ああと遠い目をした。
菅原が泣かせてしまった女の子は徹底的に菅原を避けた。休み時間の好きを狙っても、悲しげに睫毛を伏せて小走りにトイレに逃げ込む。何としようと追い縋ろうとすれば、彼女の周りのクラスメイトらが其れを許さなかった。菅原君、何のようなの、と丸で極悪人に向ける目付きで菅原を逆に詰問し、それ以上の進行を阻んだ。女子高生の怒気の前に、菅原は生唾を飲み、それ以上の追求が出来ない。

「もう、このクラスいや…!!」

「皆、あの優等生さんに借りがあるってこった。ある意味すげーと思うよ、うん」

彼女と自分の問題ならいざ知らず、菅原のこれからの交友関係を育む弊害を生む結果となった、それが意味が分からない。味噌はそこで、今迄委員会に託けて彼女を独占していた新参者をこれを機会に叩いておこうと言う事だ。

「お前も馬鹿正直と言うかなんというか。色々融通ききかせてもらってたんだろ?
ラッキーってさぁ、親切は親切で受け取らなかったのかねー、だからこんな拗れてんだろぉ」

先ずはちゃんと謝る、それで兎も角自体も沈静化して行くだろうと楽観的に友人はのたもう。
そして今日とて、菅原は戦士の如くその不屈の精神で叩きのされても、立ち上がり、その攻防は教室では一時一種の名物になっていたそうな。

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