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「い、いつからいたんですか!」リーバーが声を張り上げると、大丈夫?とか心配する様子を見ながら、コムイはこともなげに言う。

「いやだなあ〜ずっといたよ、君の背後にね!」

リーバーは戦慄した。距離を取った。
ちなみに、コムイと会話するのは教団に来て以来である。
リーバーが有するコムイ室長に関する情報は少ない。
忙殺の毎日で特に話す機会もなかった。
リナリーと言う妹が居ると言うことはリナリーリナリーと連呼するコムイは日常茶飯事であったので知っている。

「君、結構頑張ってくれてるみたいだね!最近、一週間とかで根をあげちゃう人が多くて、新人君入れても仕事に慣れる前に辞めちゃうから困ってたんだよ」

白衣の袖で口周りを拭う。
さもありなん。
馬車馬のように働かされている自分の現状を思い、そう思ったが口には出せないので素直に、どうも、と返しておいた。

「やっぱり僕の目に狂いは無かったなあ、君を推薦した僕も鼻が高いよ!僕って天才!」

コムイは要件を手短に告げると、じゃあ考えておいてね、と鼻歌交じりでその場をさり気無く離れていく。
そこに、「しつちょー!どこだーーー!!」と何処からか怒鳴り声。それにびくりと体を震わせたコムイにリーバーは、

「室長、どこ行くんですか」

すかさず室長の首根っこを掴んで、進行を阻んだ。

「離せ!僕はリナリーに会いに行くんだい!」

「はなしませんよ」「ウェンハムナイス!」「今のうちに連れ出せ―」

複数人に拘束される形で連行されていったコムイを見送り自席で落ち着き、心地よいシュワシュワと弾ける炭酸を舌の上でころがす。

「おおう?ウェンハム君、随分大きなため息だねえ。それとも調子が悪いのかな、君にこの機能解析をお願いしようと思っていたのだが、無理そうかい?」

「いや、ぜひ、おひきうけします」渡されたレシピを掴むと、早々立ち上がった。

解析は新たな実験解析方法の手順を直に学べる重要な機会だ。
だが、進めるにも、監修者が必要になる。誰かに頼めないかと手近な上司を探していると、タイプライター片手に操りながらコーヒーを啜ると言う芸当をやってのけているハンと目があった。
ハン上司は時間を指定すると二つ返事で受けてくれた。
ハン上司はリーバーが手隙であると分かると、一緒に食事でもとリーバーを誘い出す。
新しい分野に着手できる、といつもなら気概たっぷりのリーバーを知っているハン。浮かない顔のリーバーを、気晴らしにと食堂まで連れ出してくれた。
注文を済ませると、ハン上司は固いアームレストに両腕を預け、だらけた体制に入った。
目に隈があり、相当疲れている様子だ。



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