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私の世界は真っ白で、私はその白の一部。
何処までも何処までも、
気の遠くなる様な茫漠(ぼうばく)な時間が、そこにあった。
私は静かに、揺蕩(たゆた)い、踊る様に身をそこに。
それは、遥かな先。永久(とこしえ)に続くのかと思われた。
呼んでいる。
私の眠りを邪魔するのは誰。
もう少し、静かに寝て居たいのに。
光芒(こうぼう)が、全身を貫いた。
「-――――――――一器!」
温かい場所から引きずり出される様に、水底から引き上げられる。
そうしたら、優しい何かに包まれて、
「これが神器か。使えないことは無い」
跳躍する。全身の感覚が鋭敏(えいびん)になり、全能感が満ちる。
『私』は振り下ろされ、
この世のものではない何かを滅した。
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