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更なる吉報は、ひよりちゃんの高校受験の合格通知だ。
試験当日は入院していて、試験は受けられなかったけど、特別措置で別日に再試験が行われ、無事に合格点に達することが出来た。
頑張っていたひよりちゃんをずっと見てたから、自分のことみたいに嬉しかった。
「きっと、一凛さんがくれた、お守りのおかげです!」
「ひよりちゃんが、頑張ったからだよ、」
「勉強も見てもらって、どうもありがとうございました!」
「う、うん、それは全然…、でも、本当に良かった!
一応、ご利益はあったってことで、お礼は言っておくね」
黄色い狐の神様がきっと喜ぶ。
「それで…」
どうしたんだろう。何か言いにくいことがあるみたいだ。
「無事高校合格した、お祝いってわけじゃないんですけど…」
ひよりちゃんは手をもじもじさせながら、上目使いで私をちらっと見た。
「え、毘沙門さまと夜卜さんで花見?!」
なんて思い切ったことを思いつくんだろう。ひよりちゃんって凄く思い切りのいい子だ。じゃなかったら、色々エライ目にあったのに「夜卜と一緒にいたい」と言って縁を切らずに私たちと関係を持ち続けてはしないだろう。
その言葉が夜卜さんはとっても嬉しかったみたいで、ストーカー度は増し、後をつけたり、SNSに大量に書き込んだり。ひよりちゃん、大丈夫かしら。
でも、この提案は、たぶん、毘沙門さまと、そして夜卜さんのためを思った提案だ。
「私一人で、場の空気を収める自身なくって、せめて一凛さんが居てくれたら心強いなっておもいまして」
「わっ、わかりました‥参加、しますから」
しかし、果たして場を楽しむような雰囲気になるだろうか。

「ひよりんには、びっくりだよね。
まさか、夜卜ちゃんとびしゃあが宴会だなんて」
「本当に、ひよりちゃんは、私たちのこと、思ってくれてるんですね。
ひよりちゃんは下界の人で、違うところにいるのに。
ひよりちゃんといると、人間とか、神様とか、忘れちゃいますね」
「だから、夜トちゃん、うれしかったんじゃないかなぁ〜。
夜卜ちゃん、信者さんいないから、神様のなかでも下の方に見られて、なめられちゃって。
親身になってくれた人って、ひよりんが初めてなんだよ」
「そう、ですね。ひよりちゃん、はいい子ですね。
夜卜さんにも。祝の器にまでなった雪音くんがいて、ひよりちゃんがいて、
よかった」
「いちいち、そんないい方はだーめ」
「え?」
「いちいちも、夜卜ちゃんは必要ないなんて、思ってないよぉ。あたしだって、大黒だってー、ひーくんだって!」
「小福さん…」
「ね?」
「はい…」
「だからね、大黒もね、いちいちのことだいすきなんだよっ。
それだけはホントだから〜」
「いいえ、あの、それは私は、私の方こそ…」
「どう接していいか、わからないんだよぉ。今回のコトで、いろいろね、思うことがあったみたいなんだ。大黒も、
でも、それは大黒の問題で、いちいちはかんけいないんだよ〜。
だから、気にしないで、いつも通りにしてね」
「はい」
「ん、ありがと〜〜〜いちいち」
「ふふ、お花見、楽しみですね」
「ね〜〜〜!!夜卜とびしゃあって!考えるだけでわらえちゃうね〜〜」



騒がしいのは嫌いだから、めんどくさいアンタだけ勝手に行けと九割九分却下されると思っていたが、思わぬ反応が返って来た。
「ソレ、アンタも出るのか」
「え、は、はい!
折角なので、行ってこようかと‥、
ひよりちゃん一人で大変そうで。
毘沙門さま達ともちゃんとお話したいですし‥藍巴ちゃんも絶対来いって」
「毘沙門」
「えっと、大勢いますんで!
小福さんと、あと、天神さまとかにも声をかけるって言ってました!」
「………」
「むずかしい、ですよね」
「いく」
「え」
「だめ」
「だ、だめじゃないですよ!もちろん」
「アンタは、オレが来たら嬉しい」
「‥‥‥ん、え?!は、はい!
それは‥‥すごく、すごくうれしいですけど、」
「じゃあ、いく」
ブルゾンに首を埋めて、目線を外された。



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