ノラガミ長編
2014/06/07 21:51

突発的、ハイキュー夢、菅原君
こんなだったらいいと言う願望↓






「菅くんいますか」

田中は、女子だ、と思った。
古典の小テストの補習で、部活に遅れた田中は軽いウォームアップを済ませ、体育館脇のスポーツドリンクとに手を伸ばして下駄箱あたりで小休止をとっていたところだった。
もう一度言う。目の前にいるのは女子だ。当たり前だが、自分より頭一つ分の伸長差で、微妙な上目使いで、真ん丸の目玉を瞬くこの小動物みたいなのは、明らかに女子のスカートをはいて、胸にはリボンを付けている、女子である。
マネージャーの清水清子を天使女神と崇める田中にとって、勿論他の女史に目移りすることなどあり得ないが、男子バレー部を訪ねてくる女子が来ること自体が希少であり、尚且つ、清子とはまた違う、可愛らしいと称される部類の女子だった。女子だ、と思ったのは、クールビューティである清子の涼やかな美貌とは異なる、男子に人気があるだろうなと分かる、素朴系のふわりとした雰囲気をもつ『女子』である。先輩を「菅くん」と親しげに呼ぶ当たり、自分にとっては先輩にあたるのだろう。
なお、『女史』はまつ毛を伏せて、下方に視線を泳がせる。

「あの、菅くんは…」

「あ、えっと、菅さんすか?!」

じろじろと見過ぎたようで、『女史』は恥ずかしそうにはにかんだ。
なんだか、どぎまぎしながら、ふんわりした雰囲気につられて田中は頬をかいた。

「菅さんは、今日は委員会でまだ来てないっす」

「そうなんだ、ありがとう」

「あ、オレ、伝言伝えときますよ」

「いいよいいよ、ちょっとすれ違いになっちゃったみたいだから、今日は諦めるよ。
ありがとう、えっと、田中くん?」

「はい、田中っす!!」

「うん、田中くん、また今度!」

『女史』は、愛想よくにこりと笑って、踵を介したのだった。




「ああ、それ、俺の彼女」

「マジっすか?!」

練習終わりの後片づけに、女子が訪ねてきた由を伝えると、その温厚な先輩は、なんのおく目もてらいもなく、サラッと案の定の事実を肯定した。
部員が十人に満たない男子バレー部は先輩後輩関係なく、ポールやネット、ボールの後片付けを手分けして行う。ネットを畳んで籠に放り込んだホームそのままに、田中は固まった。ボールの籠を押していた部長の澤村は、今さらかと興奮気味の田中に嘆息した。

「田中は知らなかったか、てか、いつ情報よ、それ。
俺らには周知の事実だけどな。田中には言ってなかったのか、菅」

「ううん、だって、もう腐れ縁っていうか。今更な気がしたから、あんまり大きい声では言ってなかったかも。西谷とか普通に面識あったし」

「オレは、知らねえっすよお!!てか、菅さん、ひでー!!何でオレに隠し事なんか…!
知ってたらオレだって、付き合い方考えたのに!!」

「おいおーい、お前は俺の何になるつもりだ。
しかも、隠してねーって。と言うか、そんな大層な関係でもないし」

「先輩、リア充じゃないすか!彼女が居る時点で、別の世界の人間ですよーーー!!
毎日ウハウハ、すか、学校一緒に帰ろうって待ち合わせ甘酸っぱいアレですか!」

「はいはい、落ち着きなさいね田中。一年生がびっくりしてるでしょ」

「はあ、だから田中には言いたくなかったんだよな。別にそんな大げさなもんでもないのに」

「菅さぁん?!!」







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