UA36

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鮮やかな赤




「君、髪の色すっごいね」

「てめぇ触んじゃねぇよ殺すぞボケ」

まるで周りはみんな敵、みたいな鋭い眼光。なんてったって今日は入学式。そんな祝いの日にあんな怖い顔して何だかよく分かんない。人生楽しんでんのかな、あの子。
ま、男になんか興味はない。ここの学校は女子の制服カワイイし、校則だって緩いから可愛い女の子が勢揃い。ヤンキー君に構ってる暇なんてあったもんじゃないでしょ。

「きみ可愛いねぇ、ライン交換しよーよ♥あ、俺は新屋都っていうんだけどー」

教室でも視界に映るのは鮮やかな、赤い髪。
入学式を終えて学校帰りに新しいクラスメイト達とカラオケ行ったりして、中々好調なスタート。新生活、新学期。
学校は好き。楽しいし、人いっぱいいるし、何だかそういうのって安心するし。

夕焼けの下で視界に映るのはやっぱりどうしても、鮮やかな赤。河川敷で囲まれて組み敷かれてんのはやっぱりどう考えても、同じクラスの鏑木凌だ。ヤバそうな感じの男らとちょーケンカしてる。
えー……マジ?今時ケンカとかマジであんの?つーか何あれ、1対6くらいじゃん。ヤバくない?巻き込まれんのは御免だけれども、放っておいたら死ぬ?

新学期早々、人殺しも御免だし。

「あのー…お兄さん方すっげぇ強いっすねぇ!良かったら俺にもそれ教えて貰えませんかぁ」

仕方なく河川敷を降りてって駆け寄ってみる。

「あ?何だてめぇさっさと消えろ!」
「邪魔なんだよぶっ殺すぞ!」

「ボク学校で苛められてるんです…だからボクにもケンカの仕方、教えて貰えませんか?お兄さん方より強そうな人達っていないと思うんで、絶対お兄さん方に教えて欲しいんです!連絡先、交換して貰えませんかぁ」

「………ったく、しょうがねぇなぁ!」
「貧弱な身体してっから苛められんだろうがよぉ」

楽勝じゃん、ちょろすぎ。

「有難うございます!あの、また連絡するんで!」

「おう!ばっきばきに鍛えてやっからよ!」
「もう苛められんじゃねぇぞー!」

お兄さん方が厳ついバイクでその場から立ち去っていって、溜め息を付きながら教わったばかりの連絡先を着信拒否してく。制服バレてるしヤバイ?まぁ苛められてケータイ盗まれたとか言えば何とかなるでしょ。

振り返ると、赤髪のヤンキー君は顔にアザとか傷痕だとかをたっぷり付けて顔を背けて血を吐き捨てた。

「君、大丈夫ぅ?」
「煩ぇよ、邪魔してんじゃねぇぞペテン野郎」
「ま、否定はしないけど。つーか腹減んない?お礼に飯とか奢ってよ。俺そんなに好き嫌いとかないからさ」
「……あ?」


手を差し出すと、ヤンキー君が俺の手を素直に受け取る。立ち上がらせてやれば、彼はまだ人を殺すような眼光で俺を睨んでた。

新学期、新生活。
それが凌ちんとの出会いの日のこと。



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