優しさ
教室、戻りたくないな。いまは凌の顔見たくない。膝を抱えていたら、目の前に、足。
「心ちゃん?こんなとこでどしたの?」
「都ぉ…」
都がわたしの隣に座って頭を撫でた。いま、そういうやさしさとかやばいから。
「りょ、凌が…隣のクラスの子とき、キスしてた。いつもの事なんだろうけど、見るのは初めてだったから…ショックだった」
「そりゃキツいよなぁ…」
また膝を抱き抱えたまま顔を俯ければ、都がよしよしなんて頭を撫でてくる。
「心ちゃんさ、これを機に他のやつを見てみるのも良いんじゃない?」
「…むり。でもまたあんなとこ見てこんな思いするのもむり。」
「そりゃそうか。そんな簡単に諦めれたら苦労しないよなー。凌ちんにはぁー、俺がオセッキョーしとくから、心ちゃん保健室行ってきな?」
目、腫らして教室戻れないデショ。なんて、
都の優しさが心に沁みた。
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