「せ、先輩!私この曲好きなんです!」
イントロを聞いただけですぐにわかる、大人気バンド「prison」の名曲。
ボーカルは女性なんだけどどの曲も格好いいし…それにすごく色っぽいんだ!
「おれも!これ有名だよな、みんな聴いたことあるんじゃねえ?」
「女性ボーカルか…久しぶりだねい。」
「この曲でゲリラライブやったら楽しそうじゃない?」
「お、それ面白そうじゃん。やるなら前みたいに放送室も乗っ取っちまおうぜ。」
ま、前みたいに、って…経験済みですか。
絶対先生に何か言われそうだけど…でもこの曲だったらみんな知ってるだろうし楽しそうだなあ。
「なあなあ、一回試しでやらねえ?」
提案者はわくわくした顔のエース先輩。
「あ、そっか。フィルはこの曲知ってるし…」
「おれたちがさっさと譜読みを終わらせりゃ…」
「合わせられるってわけかい。」
そうやって私を含めた5人で目を合わせたあと、そのまま視線を移してあの人の反応をうかがう。
「…まずは移動だな。」
言葉を聞いて次々に教室を飛び出していく先輩たちをイゾウ先輩は呆れたように、ジョズ先輩は可笑しそうに見ていた。