「ゲームしようぜ!」

おいしい料理を食べ終えて片付けも一段落したあとそんなエースの一言があって、みんなでカードゲームをすることに。
六人で囲んだテーブルの上にはおつまみや飲み物、そして私のクッキーもお邪魔している。
私も含めた全員がカードゲームするのは久しぶりだったみたいで、結構な盛り上がり様だ。

「フィル!遠慮すんなよ!」
「で、でも」
「罰ゲームなんだから手加減しちゃだめだからね。」
「フィルちゃん、思いっきりだぜ思いっきり。」

そ、そんなに追い詰めないでください…!
それ行けと声援を送られる私の目の前にはさっきのゲームで最下位になったマルコさんが座っている。
最下位は一位からデコピンの刑とか…何で私は一位になっちゃったんだ!?

「嬢ちゃん、何なら後頭部にするかい。顔も見えねえし狙いやすくていいだろ?」
「ぶふっ!イゾウそれ最こ…うぎゃっ!?」
「お前ら、あとで覚えてろよい。」

倒れながらもまだ笑うサッチさん(ほ、本当に怒られちゃいますよ…)を睨み付けたあと、マルコさんがさあどうぞとばかりに目をつむる。
マルコさんに攻撃をするなんて恐ろしいこと、いくら罰ゲームとはいえ抵抗しかない。
こうやって私がためらっている間にもエースが手本を見せてくれていたり、ハルタさんが携帯を構えていたりするわけで。
ああ、もうやるしかない…!

「マ、マルコさん、」
「さっさとしてくれよい。待ってる時間が拷問に近え。」
「!ごめんなさい、」
「別に怒ってねえよい。こいつらに見られてんのが腹立つだけだい。」
「…じ、じゃあいきます!」

ぺしっ。

その瞬間、どっと笑い出す周りの人たち。
ゆっくりと目を開けたマルコさんは心なしかうんざりとした表情をしていて、額はほんの少し赤くなっている。
ル、ルールに従っただけだから私は無罪ですからね!

「…あー、良いもん見れた!」
「普段じゃ絶対できないしね。ねえ、次UNOとかどう?」
「お、いいねえ。フィルちゃんやったことある?」
「いえ、初めてなんですけど…」
「おーし!じゃあおれの隣おいで?おれがやりながら教えっからさ。」
「!はい、ありがとうございます。」
「マールコ、はい。」

次のゲームの準備は前のゲームで最下位だった人の役目なので、にっこり笑顔のハルタさんから渋々カードを受け取るマルコさん。
やっぱり悔しかったんだろうなと思いつつ、ちょいちょいと手招きするサッチさんの隣へ座る。

「よっしゃ、おれが華麗に一位をとる姿を見せてあげるぜ。」
「うわ、サッチそれフラグ?」
「お前ら手伝えよい、こいつをビリにするぞ。」
「「「了解。」」」
「お、お前らひでえぞ!?こんなときだけ団結すんな!」

結局、この回はサッチさんがマルコさんから手加減なしの罰ゲームを受けていた。
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