「はあ…」
「ため息つくと幸せが逃げるって言うけど?」
「うん……、はあ……」

一年分のため息をここ数日でついている気がする。
自分でしてしまったことだけど…はあ、どうしよう、私とんでもないことしちゃったんじゃないかな…。

「けど思いきったわね、着信拒否まですると思わなかった。」
「はあ……」
「ため息を返事の代わりにしないでくれる?」
「はい…」

最初は着信拒否なんてするつもりはなかったんだ。
でも一番初めにかかってきた電話が気まずくて取れずにいたら、そのあとかかってくる電話がもっと気まずくなって…それでとうとう拒否設定をしてしまった。
サッチさん絶対怒ってるよね…メールだって返してないし、ずっと無視しちゃってるし…

「はあ…何で私あんな素っ気ないメール送ったんだろ…」
「怒ってたからじゃないの?お見舞い行ったのに突き返されたし。」
「!ちょっとだけ、本当に少しだけだったの。納得できなかったからあんなメール送っちゃったけど、よく考えたら体調悪いのに無理矢理会おうとした私が悪いし、お見舞いも渡さずに帰ればよかったんだし、今は怒ってるというよりも罪悪感がいっぱいで…」
「…まあフィルも悪かったし、サッチさんも良くなかった。以上。」
「うう…」

どうしよう…こんなことになったのはサッチさんと付き合って初めてだよ…。
あのとき私がすぐに帰っていれば…ああだめだ、後悔しても遅すぎる。

「…はあ、そろそろ帰ろ…」
「あ、待って。今日はお迎えがあるから。」
「お迎え?」
「もう来ても……あ、」

アキが手を振った方向を見ると、確かに見覚えのある姿がふたつ、こっちに近づいてきていた。
これってただ単にお迎えに来てくれたってわけじゃないと思うのは私だけでしょうか…?

「やっほー。」
「…くくっ、あいつと同じ顔してるじゃねえか。」
- ナノ -