「返信来た?」
「……見る?」

お祭りを楽しみながら白ひげの社員らしき人、そしてサッチさんを探すけど、その姿を見つけることは出来ていない。
それなら私がお祭りに来ていることをサッチさんに伝えれば、もう諦めて居場所を教えてくれるんじゃないか…という話になって。
じゃあ試してみようということで、サッチさんへ連絡を入れたんだけど…。

『お仕事お疲れ様です。アキと一緒にお祭りに来ました。サッチさんはどの辺りで手伝いをしていますか?』
『フィルちゃん浴衣?』
『…そうです』
『アキちゃんに写真撮るように頼んでください。おれからは言えることはそれだけです』

「…サッチさんってこういう人なんだ。」
「!ち、違うから、いつもはもっと……」
「もっと?」
「……」

サッチさんの硬派なところや真面目なところを挙げたいのに、こういうときに限って思い出すのは私にいじわるをしている姿ばかりで。
友だちもそれを察したのか、ため息をひとつついてからフライドポテトを口に運んだ。

「…もう一回訊いたら教えてくれると思う?」
「……それと同じのが返ってくると思う。」

残念だけど私も同じ意見だし…サッチさんから居場所を教えてもらうことは諦めた方がいいようだ。
自分で探す…とは言っても、大した手がかりもなしにこの広範囲を探すのは一苦労だし、もし巡回役なんてしていようものなら出会う確率はぐっと低くなる。
それに加えてこの人の多さだし…はあ、少しだけでもいいから会いたかったなあ…。

「どうする?」
「…とりあえずジュース買ってもいい?」
「……はいはい、どーぞ。」

もう諦めたらしい友だちに見送られ、無くなってしまったオレンジジュースの代わりを買いに行く。
冷えたカルピスを手に戻ろうとした途中、荷物と足元に気を取られて通行人とぶつかってしまった。

「す、すみません、」
「いや、こっちこそ…」

あれ?この人…。
ふと相手を見ると、すらりとした体躯のその人は役場勤めのようなカッターシャツとズボンを着ていて、腕には黄色い腕章が付いている。
でもその声や、その人から伝わってくる雰囲気には不思議と安心感があって、やっと顔を見たことでそう感じたことにも納得がいった。

「マルコさん…」
「一瞬誰かわからなかったよい。…よく似合ってるじゃねえか。」
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