今日のお昼ご飯は学食のきつねうどん。
ちょっと甘めのお汁がたっぷり染み込んだお揚げを頬張るときなんて最高に幸せな時間。
やっぱりきつねにしてよかったなあと思っているところに目の前の人物からしみじみと呟かれた一言。

「…フィルって本当いい人つかまえたわよね。」

友だちの目の前にあるのは天ぷらそばで、かき揚げがさくといい音を鳴らす。
ちなみに私はお汁を含んで少ししなびたくらいが好き。

「へ、変な言い方しないでよ。」
「だって告白された側だし。」

そこを突かれると困るけど…で、でも私はサッチさんにつかまえてもらったと言う方が正しいと思う。
だってサッチさんは優しくて格好よくて、一緒に出掛ければ色々と気遣ってくれるし話せばすごく面白い。
それに私のことを引っ張ってくれて、さらには料理まで出来てしまうんだから…うん、やっぱり私はつかまえてもらった側だ。

「…ちなみに何で?」
「あのねえ、優しくて格好よくて気遣いができる。それに面白い。ちょっと歳は離れてるけど…でもフィルのことちゃんと引っ張ってくれる。」
「…」
「それに加えて料理上手なんて最高じゃない。お金にだらしないとか…そういうのは別にないんでしょ?」
「…う、うん、たぶん。」
「ほら。」

何だか頭の中を読まれた気分になる。
逆にサッチさんの直してほしいところを考えてみるものの…全然思い浮かばなくて。
少しいじわるな部分もあるけどそれは、その、別に問題にするほどでもないというか…。
で、でも間違ってもそこがいいってわけじゃないから!絶対!

「リーゼントにするのは、まあ…特に言わないけど。でもこんな良い相手そうそういないんじゃない?」

確かに私にはもったいないくらいの相手だ。
けどここでうなずいてばかりするのは自慢しているというか…のろけているようで何だか恥ずかしくて、少しくらい否定的なことを言っておこうかと思ってしまう。

「で、でも付き合ってからはサッチさんの料理食べたことないよ。二回とも外でご飯したし、サッチさんも仕事忙しかったりするし…」
「嘘つけ。一ヶ月。」
「!え、えっと…」

じろりと睨まれ思い出す。
そうだ、あの日は…
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