▼ 断罪の丘
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僕が以前、出入りして居た場所がある。

いつの間にかその場所は混沌と化していた。

それは、最近知った事。

僕がその場所を離れて久しい。僕と言葉を交わした人達とも、殆どと言っていい程、連絡を取っていない。

僕は何処にも属さなかった。属す意味もなかった。諍いの絶えない場ではあったが、どちらかの味方になり、どちらかの敵になるなんて事はなかった。

時には、僕が言葉を交わす相手同士が険悪だったりしたが、あくまで僕は僕だったし、どちらかに肩入れする事もなかった。

あの場所にいて、何度か酷く荒れた事があった。僕自身が。荒れるような事が、そこであった。

次第に、ゴシップまみれのあの場所にいる事に意味を感じなくなっていた。薄っぺらいやり取りに嫌気が差した。

ある日、とある人との電話で「やめよう」と思った。不思議とそれからは行かなくなった。今まで言葉を交わしていた人達と言葉を交わすのが怖くなった。

「所詮、上辺なんだよ」

その人は言った。

でも、その言葉を言った人は、そこでやり取りするみんなとオフで会っていたし、一緒に写るプリクラや写メもあったし、みんなを「大切な」、と称していた。

上辺だったのは、僕だけだったのかもしれない。

僕はひっそりと消えた。

ひっそりと消えて、良かったのだと、今では思う。

ゴシップまみれになってしまったあの場所で、今もあの頃のようなやり取りが続いて居るんだろうか。何が真実で何が嘘かすら分からなくなった場所で、自分の潔白を叫んでも、都会の喧騒にかき消されるのと同じで、耳を傾ける者も数少なく。

考え方によっては、無法地帯にメスが入った、とも取れるが、部外者となった僕にとって、気に留める事でもないのかもしれない。

2010.4.29 10:38 加筆修正



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