「もうさ、この世から僕達以外が消えるか…僕達二人が消えた方が良いよね」
勉強する為の机にへばり付くような体勢の照美が呟く。
長い髪のせいで表情は見えないけど。多分、無表情。
「そうしたらさ、君は誰のものにもならないし」
「そうだな」
「君がどこにいるか分からないと不安になる」
「そうか」
「気が狂いそう」
「もう狂ってるだろ」
「そうだね、君もね」
「あぁ」
ベッドに転がって、視線を照美から天井に移した。
何で付いたのか分からない傷とかシミとか…死んだらこんなのも見る事はないな、なんて頭のどっかで考えた。
「ねぇ、南雲くん」
照美が上体を起こした気配がしたから、またそちらを見る。
やっぱり無表情
「死ねば良いのに」
「そしたらお前も死ねよ」
「うん」
照美は頷いて「でも…」と小首を傾げた。
「涼野くんに怒られるかなぁ」
「死んだら怒られても何ともないだろ」
「そっか」
照美はまた「うん」と頷いて立ち上がるとベッドの側に立つ。
必然的に見上げる形になって、今まではっきり見えていた照美の顔が逆光のせいでよく見えなくなった。
でも、見えなくても俺には照美がどんな表情をしているか分かる。
今度は多分、笑ってる。
「じゃあ、死のうか?」
声が弾んでいたから、やっぱり笑ってたんだなと知った。
照美の問いに、今度は俺が「うん」と答える。
あぁ、
風介に怒られるなぁ