皆さん、おはようございます。
帝国学園のアイドル成神健也です。

現在の時刻は午前4時3分を少し回ったところ…、

今から、愛しい先輩方に寝起きドッキリしちゃうぞ!!

前からやってみたかったんだよねー♪





「…とか、暗闇の廊下で一人、心理描写とか要らんわ」


ふと、我に返った成神は普通に歩いて最初のターゲットの部屋へ向かう。




ターゲットその1:源田幸次郎


成神は源田の部屋の前に立つと「ふふん♪」と笑う。
部屋の鍵はどうするのかとか、そんな細かい事はどうでも良い。


「今の俺は何でも出来る気がする」

成神はニヤリと笑いながら、ゆっくりと源田の部屋に入る。


音を立てないように慎重に、ベッドの側に来ると源田が微かに寝息を立てている。


どうやって起こしてやろうか…、

ここは無難に布団を一気に剥がして、身体に冷気を…


成神が布団に手を伸ばして触れた瞬間、




 カッ!!


と、源田の目が開かれた。

「ひっ…」

ビビった成神が一歩後ずさる。
源田はむくりと上半身を起こして成神を見ると、首を傾げた。


「何で成神が俺の部屋に居るんだ?」


何と言う寝起きの良さ…



「…源田先輩」

「ん?」

「面白くない!!」

「え?」





ターゲットその2:佐久間次郎



「怒られないか?」

「それを恐れてドッキリなんてやってられません」

源田を道連れに、佐久間の部屋の前へきた成神がゆっくりとその扉を開ける。


「なぁ、成神…鍵は?」

「それは突っ込んだら負けですよ」


口元で人差し指を立てて「シーッ」と源田を黙らせてベッドに近付く。



枕元の巨大なペンギンのぬいぐるみで佐久間が見えない。


「…先輩、これどかしてください」

「あぁ…」

小声で会話し、源田が巨大ペンギンを退かすと布団から顔を出していたのはペンギン…


「…!?……??」

「っ?……?」


余りの驚きに声が出なかったのは幸いか、二人して顔を見合わせた。


「佐久間先輩って、寝たらペンギンになるんですか?」

「知らん…しかし、このペンギン、目が開いてるぞ」



再び布団から顔を出すペンギンを見ると、確かに目は開いている…というか、コレはぬいぐるみだ。
冷静に考えればすぐに分かる事だ。


その時、

「ん…」

布団の中から声がした。

ゆっくりと布団をめくると、ベッドの中心で丸まるように佐久間が寝ていた。
その周りにも、大小様々なペンギンのぬいぐるみがある。



「あー、居ますよね…布団に潜りこんで寝る人」

「呼吸するの苦しくないのか?」

「佐久間先輩の場合、ぬいぐるみに圧死されそうですけどね」

「……んー?」


もはや、小声ではなく普通の声量で会話していた為に佐久間が目を覚ました。



「……何してんの、お前ら」

「佐久間先輩の救助に来ました」

「は?」

「佐久間…深呼吸できるか?」

「はぁ?」







ターゲットその3:辺見渡



「何だよ、こんな面白い企画。最初から参加させろよ」

「今から一大イベントなんですってぇ♪」

「お前だけだろ」

成神と佐久間の会話を大人く聞いていた源田だが、成神が辺見の部屋の扉を開けようとした時に口を開く。



「だから鍵…」

「源田先輩、いい加減にしてください」

「成神は魔法が使えるんだよ、それで良いじゃねぇか」

「成神は魔法が使えるのか?それは凄い」

「…もうソレで良いです」


何とか源田を黙らせ、3人は部屋の中に入る。

慎重にベッドに近付くと辺見がこちらに身体を向けて寝ているのが見えた。
布団の膨らみ具合からして、お気に入りの抱きまくらは大活躍のようである。




「……誰?」

佐久間が思わず呟く。
辺見は前髪が顔にかかっており、一見して本人だと分かりにくい。


「前髪があるだけで幼く見えるな」

「かぁわいいっ」

「………」

成神の発言にも、佐久間は何も言わない。
まぁ、寝顔は大体の人間が可愛いものだ…何も言うまい。


さて、どうやって起こそうかと佐久間が考えていると成神がベッドの上に上がり辺見に覆いかぶさる。


「え、おま…何してんの?」

「面白い起こし方を思いつきました」

成神はニッと笑うと、辺見の耳元に口を寄せた。





「あぁんっ、せんぱぁい♪起きてぇんっ(はぁと」


「っっ!?」


 ガバッ


「ゎっ」

辺見が勢いよく飛び起きた為に成神は後ろに倒れそうになったが、辺見にしがみつく形でとどまった。


「……………?」

辺見は未だに覚醒していない顔で源田と佐久間を見る。

「うわぁ、俺あの起こされ方じゃなくて良かった」

「おはよう、辺見」

「……ん?」

辺見は首を傾げ「おはよう…?」と呟いた。
自分の上に乗っかり、抱き着いている成神に対して何も言わない事から、どうやら寝ぼけているようだ。

「先輩、これは夢です」

成神がそう言うと、おうむ返しに「夢…」と呟く。

「だから眠って良いですよ、おやすみなさい」


「催眠術かよ」

「でも、辺見の目が閉じていくぞ」



「ん……おやすみ」

辺見はこくんと頷いて、成神をギュッと抱きしめると、そのまま倒れた。




「え、えっ…ちょっ、先輩?」

珍しく成神が慌てるのを、佐久間と源田は見守った後に「じゃ」と片手を挙げて部屋を出ていこうとする。

「ちょっ、見捨てないで!!堪えられる自信がない!!」

「強姦は犯罪ですよ」

もがく成神に佐久間はヒラヒラと手を振り、源田は「俺も眠いから」と目元を擦りながら無情にも部屋に残された。


「辺見先輩…マジ、起きて。俺、抱きまくらじゃない」

「んー、……」

「ちくしょう…マジで襲うぞ」

「………」


「…生殺しだ」




目覚めた辺見の叫びが寮内に響き渡るのは暫く後の事。



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