※微裏、女装注意
「ふぁっ…眠ぃ」
「寝る前にココアでもどう?」
「んー、いる」
そう言ってグランから飲み物を貰ったのが間違いだった。
「なんっっっじゃ、こりゃああああっ!!!!!」
朝起きたら女になっていた。いや、違う…女の格好をしていた。
漫画みたいなメイド服…自分では脱げないように、ご丁寧に手錠までされていた。
何故こんな事に…?
とか、考えるまでもない。あのクソ野郎の仕業だな。
ベッドから出て立ち上がる。うおぉ…下半身がスースーして気持ち悪ぃ。
何で女はこんなの履けるんだか。
膝上まである靴下にもイライラする。
手錠のせいで、身体の前で上下にしか動かせない手で扉を開けて廊下を走り抜けた。
こんなのチームメイトに見られたら憤死する自信がある。
「グラン!!これテメェの仕業だろ!!!」
マスターランクのキャプテンだけが使用出来る部屋に入ると、新聞を読んでいたグランがにこやかに顔を上げ、その向こう側でガゼルは飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「やぁ、おはようバーン」
「ゲホッ、ゴホッ…お前、なんて格好を」
いつも以上に憎たらしい笑顔のグランに、汚れたテーブルを慌てて拭くガゼル。
俺はというと怒りで身体がカタカタと震えていた。
同じ部屋に居るのに三者三様の雰囲気か…ハハ、面白ぇな。
あぁ、ヤバい。余りの怒りに頭が考える事を放棄しようとしている。
「ガゼル…俺はバーンと話があるから、暫く出ていってもらえる?」
「え?あ、あぁ……すまん」
多分、最後の“すまん”は俺に向けた言葉だろう。
物凄い憐れみの目を俺に向けたガゼルがおとなしく部屋を出ていく。
「さて…」
グランは新聞を綺麗に畳んでテーブルに置くと、立ち上がって俺に微笑む。
「俺に何か用かな?」
「ふざけんな!!俺のこの格好について何か言う事はねぇのか!!」
「あぁ、睡眠薬って凄いね…脱がせても全然起きないんだから。とても似合ってるね。可愛いよ」
「ちっげぇえだろぉっ!!!」
不自由な手でグランの胸倉を掴み上げれば、グランは右手でそれを上から抑える。
「しっかり握っててね」
「は?何言っ…ひゃあっ!!」
グランは笑顔で俺を見つめたまま、空いてる左手で俺の足を撫で上げる。
「なななっ…ちょっ、やめろっ」
防ごうにも、スカートは上に上がるし、手は抑えられてる。
「スカートって便利だね…脱がさなくても出来る」
「なっ…」
何が?
とか、怖くて聞けない。
あれ、俺何しに来たんだっけ?
何でこんな事され…あぁ、そうだ。
「お前コレ!!早く脱がせろよ!!」
「凄い殺し文句だね」
「はぁ?……っ、そういう意味じゃねぇよ!!」
「はいはい、ごめん…後ろ向いて」
グランは「後ろにファスナーあるから」と、俺を半回転させる。
「いや、待て。先にこの手錠…」
手錠さえ外してくれれば自分で脱ぐ。
その前に着替えの服…
「あ、そうだ」
ファスナーを途中まで下ろした状態で、後ろから聞こえた上機嫌な声に嫌な予感がする。
「ニーハイはそのまま自分で脱いで」
いや、出来れば全部自分で脱ぎたい…。
「ニーハイって、何?」
「靴下」
あぁ、これニーハイっていうのか………知らんがな。
俺は床に座って靴下…ニーハイ?を脱ぎ始める。
あぁああ…だから、この手錠が邪魔くさ…
「バーン、今の態勢が凄くエロいね」
地球にコイツの存在が一番邪魔だ。
何がガイアだ。チーム名ジャンクに変更しろ。
イライラした気持ちは、一刻も早く着替えたい一心で押し込める。
「おら、脱いだぜ。さっさと手錠外せ」
床に座り込んだままグランを見上げれば、グランは俺に近付き…、
「え、ちょ…何?」
押し倒された。床が冷たい。
いや、そんな事はどうでも良い。
「何…して」
「可愛いメイドさんをいただこうかな…と」
「はっ?ふざけ……っ」
「んー、脱ぐ姿はエロかったけど…やっぱりニーハイはあった方が良かったかなぁ」
「触んな馬鹿!!スカート上げるなっ!!!」
両手で押し返そうにも、制限された動きの中では力が入りにくい。
「ばっ…ばか、マジでやめ…」
ちょっと半泣き入ってる自覚はある。
女装させられて、手錠かけられて、その上押し倒されるなんて情けなさすぎる。
「でも…たまにはこういうのも燃えるでしょ?」
わわゎっ、首を舐めんなぁあっ
「ゃ…」
「可愛い…バーン」
グランが肩の方を引くと、ファスナーが途中まで下がっていた事もあって、肩が外気に晒される。
「ゃ…だ」
「嫌…じゃないでしょ?」
相変わらず、足は撫でられるし、肩にまでキスされるし、もう……
「良い、でしょ?」
「ぁ、グラン…も……い、いぃ…………っ
訳あるかあああぁぁああっ!!!!」
渾身の力でグランを蹴り飛ばす。
「ゲホッ、さ…さすが良い蹴りだね」
「うっせぇ!!サッカー少年なめんな!!」
腹部を抑えるグランに両手を突き出す。
「手錠を外せ!!それ以外で俺に触れたらテメェのムスコを蹴り上げて再起不能にしてやるからな!!!」
「下品だなぁ」
苦笑いしながらポケットから鍵を取り出したグランは数秒考えて「ねぇ」と俺を見る。
「一枚だけ写真撮って良い?」
「死ね!!!」