後半が始まった。
染岡が上がり、シュートを打とうとゴールに狙いを定めた。


「ドラゴンスレイヤーV3!!」


………、


円堂が口端を上げる。


「スティールハンド」


円堂の脚が動く…

手が伸ばされる…





「……っ!?」

染岡は愕然とする。
自分は確かにボールを蹴ったはずだ。

しかし感触がない。ただ脚を蹴り上げただけのような感覚。


「探してるのはコレか?」

「!?」

円堂がボールをクルクルとと回してニヤリと笑う。


「なん…だと?」

風介やアフロディ、他のメンバーも我が目を疑った。


「お前があまりに蹴るの遅いから先に取っちまった」

「………」



「キャプテン危ない。ペナルティエリア外だったらどうするの」

吹雪が拗ねた子供の様に言えば、円堂は面倒臭そうな視線を向けた。


「ギリギリ大丈夫だったから良いだろ。たまには俺も動きたいっつの」



分からなかった。
円堂は自分の足元から、蹴られる直前のボールを奪ったと言うのか…、


染岡は思わず唾を飲み下す。


「なんて奴だよ…」

「染岡くん、もう少しだったのにね」

染岡の表情を楽しむように吹雪が笑う。


「…っ」



「よーし、投げるぞー」

円堂は間延びした声でそう言うと、辺見へとボールを回す。
辺見はドリブルである程度上がると、鬼道に回し、鬼道がそれを豪炎寺に…





一方的な試合だった。

結局、雷門チームは21対0という大差で負けてしまった。


「なぁ、立向居」

立ち尽くす雷門チームの所に来た円堂が立向居の前に立つ。


「また、試合やろうぜ?」

「…」

円堂は自らのチームを示して笑う。


「今度は人数を揃える。お前達も人を集めろ。強くなれ……俺をがっかりさせるなよ?」

それだけ言うと、背中を向けて歩き出した。すぐに風丸が後に続き、他のメンバー達も動いた。
吹雪が最後に笑顔で手を振り…円堂のチームは雷門から姿を消した。





「…強く、ならなきゃ」


どれだけ時間が経ったか分からなくなった頃、ギリッと拳を強く握り締めた立向居が低く呟いた。


「選手を集めなければ」

アフロディは立向居の言葉に頷き、言った。

「今のままでは彼らに勝てない。彼らはメンバーを集めると言っていたね…また誰かがあちらの仲間になるということだ」

「………」

重い空気が流れ、立向居が「大丈夫です!!」と声を上げた。

「諦めません!!皆で強くなりましょう!!…そして、円堂さん達を助けるんだ」

その言葉に皆が頷く。

大丈夫。諦めずに、皆の力で…


それが自分達のサッカーだ








多くの人が行き交う空港ロビー。
そこに二人の少年がいた。


「日本は初めてだよ」

「俺もだ」

「楽しみだなぁ、皆元気かな」

「会えば分かるさ」

「そうだね」


褐色の肌の大柄な少年の言葉に笑顔で頷いたのは、焦げ茶色の髪に青い瞳の少年。

二人は遠い地に居る仲間達との再会を楽しみにしていた。





「待っててね、マモル」




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