「あ、流れ星」
「え?」
部活の帰り道。ふと空を見上げた青山が発した言葉に一乃は反射的に顔を上に上げた。
しかし、視界に広がるのは普通の夜空で…いつもと違う事、流れ星など見えなかった。
「おそーい。もう流れて消えちゃったよ」
「…お前って色んなの見付けるの得意だよな」
空から青山に視線を移して感心した様に言えば、青山は謙遜する素振りすら見せずに「観察眼が素晴らしいんだろうね」と言う。
それに軽く「はいはい」と返した後にまた空を見る。
「んー」
暫く見上げながら歩いていたが、全く流れない。
流れ星なんて人生で数えるほどしか見る事が出来ていないのだから、そんなに簡単に見られるとは思っていなかったが…
「あはっ、一乃変な顔」
「うるさい」
顔を上げながら歩くと自然に口が開いて間の抜けた顔になってしまう。
一乃は上げていた顔を次は少し俯かせ、首の後ろを擦る。
「あぁ、首痛いし流れ星は見えないし…」
首を振って一息ついた時にふと流れ星に関するジンクスの様なものを思い出した。
「そう言えば…流れ星に3回願い事を言えば叶うって言うよな」
「あー、そんなのあったね」
「青山なら何て願う?」
「金金金!」
「うわぁ…」
「冗談だって」
「…目が笑ってない」
にっこりと笑って手を振り、否定する青山を胡散臭そうに見る一乃に青山はケラケラと笑う。
「大体ね、流れ星が流れる間に3回願い事を言うとか無理なんだから。願いなんて叶わないって意味なんだよ」
「夢ないなぁ、お前」
溜め息をついて首を小さく振る一乃を見て青山は首を傾げた。
「何、一乃は何か願い事あるの?」
「そりゃあ…願い事くらい誰にだってあるだろ」
「ふーん…じゃあ、俺も次に星が流れたら願ってみようかな」
そう言って青山はふざけていた表情を正して空を見上げた。
青山の願いとは何だろうか…
一乃が色々と考え、自らも空を見上げた瞬間に視界を走る光。
直後に側から聞こえてきた“願い事”
「俺!一乃!ずっと一緒!」
「…っ!?」
バッと隣を見ると、クスクスと笑っている青山。
己の頬が若干、熱くなっているのを感じながらもひねくれた様に青山に言う。
「普通区切るか?それカウントされないだろ」
「ハハッ、だって本気で願っている訳じゃないし」
「な…」
少なからずショックを受けた一乃が思わず立ち止まって言葉に詰まっていると、青山は「ふふふっ」と妖しく笑いながら下の方から一乃の顔を覗き込む。
「これくらい星に願うまでもなく、俺の意思でずっとお前の側にいるし」
「っ……俺の意思は無視かよ」
急に羞恥が込み上げてきた一乃はふぃっと青山から顔を逸らす。
「一乃の意思なんて聞かなくても知ってる」
「自意識過剰」
「あれ?俺は何も一乃の意思が『俺の側にいること』だなんて言ってないけど?」
「…!」
「あははっ、一乃かぁわいー」
「うっさい!」
怒鳴る一乃に軽くキスをして黙らせる。
怒った表情で睨み付けてくる一乃に青山は今までのふざけた笑顔ではなく、軽く微笑みかけた。
「星なんかに願わなくても俺はずっと一乃と一緒にいるよ」
「……知ってるよ馬鹿」
「あ、流れ星」
「お前見付けすぎ」
「金金金…」
「おい」
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初めまして〜様
お名前がなかったので、冒頭の文章〜様としています。すみません!
リクエストありがとうございました。青一は初めてだったのでどのような感じにすれば良いのやら…こんな感じでよろしかったでしょうか…?
ダンロンパロもきちんと最後まで書くつもりなので、気長に待っていただけると嬉しいです!
ありがとうございました。