追い詰める続編 




倉間は憂鬱だった。
健全な男子中学生にあるまじき事態に陥っている。それというのも、全てあの1年生が悪い。



『先輩がどんな感じで自分のモノを擦ってイくのか見せてください』



「〜〜〜〜〜っ///」


思い出しただけで、悶絶ものだ。
マサキのあの発言以来、溜まった欲を吐き出そうにも自慰行為を行おうとする度にマサキの顔がチラつく。
その為、倉間は2週間以上ご無沙汰である。実に由々しき事態。



「くらま〜、最近カリカリしてるけど何かあったん?」

昼休み中に「煮干し食う?」と、小袋を差し出してきた浜野に倉間は某FWの先輩のような死んだ目を向ける。


「煮干しじゃ抜けない…」

「は?」

ついに、不可解な事まで言うようになってしまった。


「…何でもない」


机に突っ伏した倉間の耳に「速水、煮干し食う?」「いりません」という会話が入ってきたが、どうでも良かった。

早く部活で色々と発散させてしまいたい。








「何か…倉間の奴、張り切ってるな」

「張り切ってるというか、危機迫ってるというか…」



そんな拓人と蘭丸の会話を聞いていたマサキは内心ほくそ笑む。十中八九あの時の事が原因だろう。

鬼の形相でボールを蹴りつける倉間を見ながら「そろそろかな…」等と考える。
ヒロトの「少し強引に」というアドバイスを実行するには良い頃合いだろう…。






着々と己に網が絡まっている事に倉間はまだ気付いていない。




今日も室内グラウンドで自主トレをしてから倉間は一人遅れて部室に戻る。


「あ、お疲れ様ですー」

「……何でお前がいるんだ」

部室のベンチに腰かけていたマサキがヒラヒラと手を振るのに、倉間がしかめ面を返すとニヤリと笑われる。

「サッカー部員が、サッカー部の部室にいて何か問題でも?」

「いちいちムカつくな」

タオルで汗を拭きながらロッカーを開ける。着替え始めるが、マサキの視線が気になる。かと言って声をかけたり振り向いたりして意識してると思われるのも癪だ。
結果、無言になる。




「ねぇ…」

「っ?」

意識的に別の事を考えながら着替えていた為に、耳元で聞こえた声に大袈裟にびくついた。倉間のその反応にマサキがクスクスと笑っているのが分かる。
距離があまりにも近くて振り返る事も出来ないし、目の前はロッカーだから離れる事も出来ない。
何故、マサキの接近に気付かなかったのかと己の失態を嘆く。


「先輩…最近ヤってないでしょ?」

「な、何を…」

顔は見えずに背後から声だけが聞こえる。相手の出方の分からない状況に倉間は僅かながら恐怖を感じる。それでなくとも相手はあのマサキだ。何を仕出かすか分からない。


「何をって……コッチの方、ご無沙汰でしょう?」

「ひっ…ばっ、おま…どこ触って…」

突然、下肢に手を這わされて慌ててマサキの腕を掴むが、マサキの手が己の急所を触っている以上強くは出れない。

「きっと俺のせいで満足な処理も出来ていないだろうなぁ、と思ったら責任感じちゃって」

等と白々しい口調で良いながら刺激を与えてくる。


「ぁっ…ばか、やめ……っ」

マサキの言う通り、満足に処理していなかった倉間の欲望は少しの刺激でもすぐに反応を示した。

「ふふっ…ね?だから、手伝いますよ」

「ふぁっ…ゃだって…」

耳を甘噛みされ、低く囁かれると背筋にゾクリと訳の分からない感覚が走る。倉間が戸惑っている間にもマサキが待ってくれるはずもなく…いつの間にか下着の中に侵入していた手に直接的な刺激を与えられて倉間の身体が跳ねる。


「ちょっ、まっ…」

「待ちました」

「はっ?」

「2週間以上待ちました」

「意味が…わか……ぁっ、あっ…や、んぅ〜っ」


空いている左手で倉間を自分に引き寄せるように押さえ込み、右手は休む事なく倉間を高めていく。小柄な身体が自分の腕の中でびくびくと震えるのも、右手に確かに感じる倉間の高ぶりにも、ぐちゃぐちゃと聞こえてくる卑猥な水音にも興奮する。

特に、必死に声を抑えようとしても漏れてくる倉間の喘ぎ声が堪らない。
自分自身は暫くはこのネタで抜けそうだな…等と、倉間が知ったら「お前を殺して俺も死ぬ!」とか言い出しそうな事を考えていた。



「やっ…だ、も………ぃっ…」

「良いですよ、イって」

「んっっ…」








「いやぁ、本当に溜まってたんですね。めちゃくちゃ濃いですよ」

「はぁっ、はぁ…はっ……」


手を離した途端にへたり込んだ倉間に、マサキはしゃがんで視線を合わせると、にこやかに告げる。


「これからは俺が手伝ってあげますよ♪」

「…………」

相当な体力を奪われた倉間は文句を言う気力もないらしく、大きく息を吐き…………意識を手放した。




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