吹雪から逃げるように別の生徒に声をかけることにする。
円堂が玄関ホールに戻ってきた時に最初に声をかけきた猫耳の帽子を被った少年だ。


「あ、俺は松野空介。よろしくー。マックスって呼んでよ」


松野空介。
超高校級の野球選手。野球の有名校でエースを務めた…うーん。

「なんか…想像と違う」

「あははは」

円堂の率直な感想に明るく笑って答える。

「うん。俺って野球って感じじゃないもんねー。だいたい野球ってそんなに面白くなかったし」

「え?」

「大体のスポーツは得意だよー。んで、色々と試してて野球やってる時にたまたま有名になっちゃってさぁ、超高校級の野球選手とか迷惑だよ。もう野球やめちゃったのにー」

「そ、そうか…」

まだまだ愚痴が続きそうだったので離れる事にする。
次に声をかける事にしたのは眼鏡の少年…、

「あぁ、こんにちは円堂守くん。僕は目金欠流です」

「おう。これからよろしくな」

「ちなみに円堂くんは二次元の世界には興味ありますか?」

「にじ…げん?」

「……はぁ、分かっていませんね。まさかこの超高校級の同人作家と呼ばれる僕のことも分からないとか?」

「同人…?」

「……もう良いです。君に話すことはありません」


なんだか、呆れられてしまった。
同人作家ってなんだろう。とりあえず、作家ってことは吹雪みたいなもんなのか?

円堂は会話をする気をなくしてしまった様子の目金から離れて、次の生徒に声をかける。


「あ、初めましてですね…私、音無春奈っていいます」

黒髪の少女はニコリと微笑む。それに円堂も笑って返した。


「おぉ、よろしく」

「超高校級の情報屋やってます」

「情報屋?」

「スリーサイズから性癖まで。私に調べられないことはありません!」

「………」

あまり関わりたくないな…。


そう思って視線を逸らした先にいた人物。床の一点に視線を送り、周りと会話をする気もないのか…、


「よぉ、俺、円堂守」

「………」

「…名前、聞いて良いか?」

「……風丸一郎太」

前髪で左側面の顔は窺うことはできないが、かなり整った容貌の持ち主だ。
長い髪を一つにまとめている。
名前を言ったきり、黙ってしまった…。

「………」

「………」

「……え、あ…風丸は何が超高校級なんだ?」

「………何でお前に教えなきゃいけないんだ?」

「あ、いや…」

「教える必要はない」

「そう…だな」


これ以上会話を続けるのは無理なようだ。
別の生徒に声をかける事にしよう。

そう思って、近くにいた金髪の少女に挨拶をする。すると少女はふわりと微笑んで返してくれた。

「初めまして、私は亜風炉照美。これからよろしくね」


亜風炉照美。
超高校級のプログラマー。

様々なプログラムの開発で注目を集めている。それに加えてその容姿の美しさから美少女プログラマーとしてアイドル並みの人気があり、ファンクラブも設立されているとか…、

確かにかなりの美人だ…プログラマー相手だけどファンになってしまう気持ちも分からない訳ではない。



次の生徒は落ち着いた風貌の少年。

「俺、円堂守。よろしくな」

「あぁ、俺は源田幸次郎だ」


源田幸次郎。
超高校級のゴールキーパー。

通称KOG、キングオブゴールキーパーと呼ばれるほどの凄いサッカーの選手だ。

その落ち着いた様子に説明しがたい安心感を与えられる。頼りになる兄のような存在になりそうだ。


そして、次に声をかけるのは自己紹介を提案した少年、

「俺は緑川リュウジ!これからよろしくな」

「おぅ、よろしく」

緑川リュウジ。
超高校級のスイマー。数々の大会の記録を塗り替え、将来はオリンピック選手間違いなしと言われている。

「色々お話したいけどさー。砂木沼がうるさいからちゃちゃっと他の奴らにも声をかけちゃいなよ」

「はは、そうだな」

緑川の言葉に頷いてその側の赤髪の少年に声をかけてみる。



「俺は基山ヒロトだよ。よろしく」

基山ヒロト。
その見た目からは想像も付かないが彼は超高校級の格闘家で今まで試合では無敗を誇っている。

「ヒロトって強そうには見えないけどなぁ」

「ふふふ…勝負してみる?」

「…遠慮しとく」



次に声をかけたのは右目に眼帯の少年。


「俺は佐久間次郎。ま、よろしく」

「おう、えーと、佐久間は…」

「超高校級の占い師…らしいよ」

「らしい?」

「だって、俺が自分で言った訳じゃないし」

「そう…なのか」

「たまに未来が見えちゃうだけ」

「………」


危ない人なのかなぁ、


円堂は佐久間から逃げるように隣の少女に声をかけた。


「ウチは浦部リカ。超高校級のギャンブラーや」

「ギャンブラー…」

「あんたもウチと勝負してみぃひん?身包み剥がしたるで!」

「え、いや…」

ホントに剥がされそうで円堂は思わず一歩後ずさり、そのままリカから離れて最後の一人に声をかけた。


「鬼道有人だ」

鬼道有人。
鬼道財閥の一族で、生まれながらにエリートの道を歩む事が決まっている正に超高校級の御曹司。

この中でも特に別格な存在だ。


「………」

「…何だ」

「え?」

「もう話す事はない。向こうへ行け」

鬼道はそう言って円堂から視線を逸らす。
仕方なく円堂は鬼道から離れて改めて周りを見た。

……、


先程から気になっていた。
ここは玄関ホールのはずだが、外へと続く玄関は大きな鉄の扉で塞がれていて開く事ができなくなっており、天井から監視カメラが吊り下げられていた。
明らかに様子が変わっているのだが…、





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -