「アトミックフレア!」
「ファイアトルネード!」
「ツインブースト!」
「何故だ!?何故止められる!?」
先ほどとは立場が完全に逆転してしまっていた。
豪炎寺達の攻撃は全て防がれる。
辛うじて攻めさせる事はしていないが、こちらも全く攻める事が出来ない。
「もっと攻めて!君達は強いんだよ!!」
カイが叫ぶ。
「……」
アフロディはそんなカイの姿を悲しげな表情で見ていた。
彼自身が情緒不安定に陥ってしまっているから、催眠が上手くかかっていないのか、
あんなに必死になって、彼はどうして…
「もう良い!僕が行く!!」
カイは辺見から無理やりボールを奪うと自ら上がっていく。目の前にヒロトが来て動きを止め、ヒロトを睨み付けるとヒロトめがけてボールを蹴りつけた。
「…っ」
突然の事に反応が遅れたヒロトがボールに当たるのを覚悟した瞬間、
「ぐっ!!」
「……え?」
誰かがボールとヒロトの間に飛び出してボールの直撃をその身に受け、そのままヒロトと共に地面に倒れこんだ。
「緑川…?」
腹部を押さえ呻く緑川にヒロトは一瞬混乱した。しかし、すぐに我に返って緑川の身体を支える。
両チームのメンバーもその光景に驚いていた。
「緑川!大丈夫!?どうして…」
「…楽しくない」
「え?」
緑川はカイを睨みつけて叫んだ。
「お前の言うことを聞いていても楽しくない!!」
「な…」
「っ」
緑川の叫びに数人のメンバーが反応した。晴矢もその一人だった。
「楽しくない…?」
小さく呟き、その言葉の意味を探る。
楽しいサッカーってどんなのだっけ…?
「晴矢」
自分の名前を呼ぶ声にハッとする。
風介が晴矢の目を真っ直ぐに見つめていた。
「ダイヤモンドダストとプロミネンスで初めて試合をした時、引き分けだったな」
「………」
「悔しかった…でも、楽しかった」
「……あ」
「カオスとして同じチームでプレイした。雷門と熱い試合をして…どうだった?」
静かに、語りかけるように離す風介に晴矢の目の色がだんだんと変わる。
「照美が一緒にサッカーをやらないかと誘ってくれたな…こんな私達を。嬉しかった」
風介は優しく微笑んで言う。
「また一緒にやろう?」
「………お前がそんな風に笑うの、珍しいな」
「何で…どうして」
カイは周りの選手達の変化に気づき、動揺する。
こんな事あっていい筈がない。こんな…僕はリクの為に、こんな所で…
「これが俺達のサッカーだ!!!」
「!?」
その場の視線が立向居に注がれる。立向居はありったけの想いを込めて叫ぶ。
皆の心に届くように、円堂の心に届くように…
「どんな相手だろうと諦めない!仲間と一緒なら俺達はどこまでも強くなれる!これが俺達のサッカーなんだ!…円堂さん!!」
「っ」
「貴方が…貴方が教えてくれた」
「ぁ…」
円堂の瞳にだんだんと光が戻る。
「俺…何を」
「………」
あぁ、
ここまでなのか…
カイは膝をついて空を見上げた。しかし何も映らない。
ねぇ、リク…
リクと一緒に見た空を
僕は…、