あの日見た空の色を

    君は憶えているかい?





Act.5 いつかの僕へ





真っ赤に染まっていた。


目の前も、周りも…夕陽に照らされて、非現実的で、何が起こったのか分からなかった。



『リクがサッカーをしていると、僕もサッカーをしている気持ちになるんだ』
『何それ、変なの』
『そう?』
『でも、それなら兄さんがサッカーをやったら俺もサッカーをやってる事に…ややこしい!やっぱり変だよ』
『ふふっ…』
『へーんなのっ、はははっ』




『救急車を呼べ!』
『子供が轢かれたぞ!』
『あれでは、もう…』
『君はあの子の知り合いかい?』
『君……君っ、大丈夫か?』




 真っ赤に

   染まっていた…






「…ぅ」

ズキズキと傷む頭を押さえる。
円堂は何か…大切な何かを思い出そうとしていた。


何だったっけ?この気持ち…

あぁ、そうだ…


サッカーは…凄く、



楽し…







カイはハッと我に返り、そして叫んだ。



「耳を貸さないで!」

「!?」

途端に、円堂達がビクリと反応した。





何だろう…今、何かを思い出しかけたような、


円堂はまだ僅かに痛む頭を軽く振った。


いや、今はそんな事よりこの試合を終わらせなければ、

あぁ…カイが何かを叫んでいる。聞かなければ、彼は何と言って…



「僕達は負けない!」
「僕達はずっと仲間だよ!?」
「これからもずっとサッカーを続けるんだ!」
「ずっとずっとずっとずっとずっと!!」


そうだ、俺達は強い

俺達は負けない


ずっと、ずっとサッカーを


そうすればあの子もサッカーを、


あれ、

あの子って……


誰だっけ?


俺達は何の為にサッカーをしているんだっけ?









「はぁ…はっ、」

豪炎寺がボール蹴って試合が再開された。
雷門チームは立向居がカイのシュートを止めた事によって士気が高まっていた。
それに対し、アンブラーは目に見えてプレイにキレがない。


「キラースライド!」

「なっ!?」

成神が鬼道からボールを奪う。

「鬼道さんなら今のは突破出来るはずです!目を覚ましてください!」

「う…五月蝿い!」

動揺して怒鳴る鬼道の背後から辺見がスライディングでボールを奪い、晴矢へ回した。


「アトミックフレア!」

「アイアンウォール!」

「止められた…?」


晴矢の攻撃をテレスが止める。


「怯むな!ボールを奪え!」

いつの間にか上がってきていた風丸が再びボールを奪う。


「俺達は…俺は負けられないんだ!傍に居ると決めたんだ!」



ずっと傍に…

望みはただそれだけなのに…




「ダークフェニックス!」

鬼道、豪炎寺と共に打ったシュート


「魔王ザハンド!!」



傍に居たい…
たったそれだけなのに


それさえも



「止められた…」






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -